建設経済研究所と経済調査会が4月11日に公表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2025年4月)によると、24年度の建設投資額は73兆9500億円となり、前年度と比べて4.0%増加する見込み。このうち民間の住宅投資額は同1.6%増の16兆9600億円になると予測した。
24年度の住宅着工戸数は、ほぼ横ばいの79.7万戸(同0.5%減)となる見通しで、戸建・分譲戸建が減少基調となる一方で、貸家・分譲マンションは微増になると予測した。投資額は実質値ベースでは微減、名目値ベースでは物価高騰により微増となる見込み。
同調査は24年10~12月の2次速報を踏まえ、24・25年度の建設経済を予測している。
分譲戸建の着工、過去12年間で最低か
住宅着工戸数のうち、持家着工戸数は前年度比0.5%減の21.9万戸と予測。用地価格、建築価格ともに上昇傾向で、一次取得者の動きが慎重になっている。その一方で、富裕層向けの高付加価値商品の販売は堅調。前年度と同水準で推移する見込み。
分譲住宅着工戸数は同4.6%減の22.4万戸と予測。マンションの着工戸数は増加となる見込みだが、戸建の実績(累計値)は過去12年間で最低値となることが予想される。貸家着工戸数は首都圏を中心とした賃貸需要の高まりを背景に、同1.9%増の34.7万戸になると予測した。物件の大型化や高付加価値化も進んでいる。
25年度は着工数が減少
2025年度の建設投資額は74兆9300億円で前年度比1.3%増になると予測。このうち民間の住宅投資額は建設コスト上昇の影響もあり、同2.7%増の17兆4200億円を見込んだ。実質値ベースでは前年と同程度になる見通し。住宅着工戸数は同0.9%減の79.0万戸と予想している。
持家着工戸数は同1.8%減の21.5 万戸、貸家着工戸数は同1.2%減の34.3万戸になると予測。持家は「子育てグリーン支援事業」などの支援策が追い風になるが、住宅価格の高騰や実質賃金低下により、着工数は微減が見込まれる。貸家は金利上昇が懸念されるものの、当面は賃貸住宅の需要が維持される見通し。
分譲住宅着工戸数は、都心や湾岸エリアで根強い需要があり、同0.7%増の22.6万戸になると予測。一方で、分譲戸建では土地の新規購入を控える動きが見られる。
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