国土交通省は4月3日、2025年度の「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業」として7事業を選定した。同事業は、都市デジタルツインの実現を目指す「Project PLATEAU(プラトー)」の補助事業。今年度は社会課題解決に取り組む民間事業者が新たに補助対象として加わった。さらに、広域の地方公共団体などによる事業も対象となり、合わせて約300都市の3D都市モデルが年度末までに整備される予定となっている。

2025年度の採択プロジェクト(民間事業者)
建築計画ボリュームの可視化など
一級建築士事務所のくわや(東京都三鷹市)では、都内23区全域を対象に、任意の敷地の容積率と建築計画ボリュームを可視化するサービスを開発する。同サービスにより、不動産事業者は専門事業者に外注することなく簡易検証を行うことが可能となる。主な機能として、▽地図上で指定する土地形状での計画可能ボリューム出力▽高層建物の日影規制を考慮した計画可能ボリューム出力▽簡易な形状の建物外形平面、階数、述べ面積などの出力機能―が搭載される。

プロジェクトのイメージ図(くわや)
地方自治体向けの事業では、福岡県うきは市の3D都市モデル事業などが採択された。同市では、3D都市モデルを伝統的建造物群保存地区など(現都市計画区域外)の建築基準法既存不適格調査に活用。調査結果を3D都市モデルとして可視化し、都市計画マスタープランや建築基準法緩和条例の検討資料として用いる。

プロジェクトのイメージ図(福岡県うきは市)
補助上限、民間は5000万円
「都市空間情報デジタル基盤構築支援事業」では、地方公共団体、民間事業者、NPO法人、一般社団・財団法人、地方広域連合、事務組合などを対象に、3D都市モデルの①整備に関する事業、②活用に関する事業、③整備・活用・オープンデータ化を推進する事業―を支援。
補助率は、民間事業者は2分の1(上限:5000万円)、地方公共団体などは早期実装タイプが全額(上限:1000万円)、通常タイプは2分の1(上限なし)。2025年度は民間事業者向け7事業(新規整備1都市)、地方公共団体向け52事業(新規整備39都市)が対象となっている。
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