国土交通省は4月4日、公共事業の発注機関や自治体に向け、所管事業を円滑に進めるための通達を行った。2025年度予算で柱として掲げた「国民の安全・安心の確保」「持続的な経済成長の実現」「地方創生2.0に資する個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」を実行するための留意事項についてまとめたもの。この中で、経済・社会情勢の変化などを踏まえ、効率的に事業を行うよう求めている。
公共事業の施行方針では、▽国土強靱化の取組を計画的に進めること▽予算の透明性・効率性を高めるために情報開示を徹底すること▽ICT施工、BIM/CIM、インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進すること▽「監理技術者制度運用マニュアル」に基づき技術者・技能者の効率的活用を図ること―などが示された。
建設産業の健全な発展に向けては、建設業の経営改善を図るため、工事代金の早期支払い、工事検査の迅速化、建設業者の合併への支援に努めることとした。さらに請負業者に対し、▽労働時間の短縮▽労働・公衆災害の防止▽賃金の適正な支払い▽健康保険・厚生年金保険への加入など、労働条件の改善に向けた指導を行うよう促している。
下請取引の適正化など指示
他に、下請業者に対する請負代金の金額の設定や、その支払いが適正に行われるようにするため、請負業者に施工体制台帳の提出を求める。資材納入業者、運送事業者、警備業者との取引関係についても適正化を図るよう指導を行う。
下請代金の設定では、市場の実勢を適切に反映した価格設定を行い、工期設定や工程管理への十分な配慮を求める。さらに工事内容の変更により工期や請負代金の額に変更が生じた際には双方で協議を行い、適切な対応を講じることも明記した。
環境への配慮では、環境配慮資材の使用により工事全体での環境負荷を低減させること、建設発生土など建設副産物の適正な処理・再生利用を行うことなどを指示した。
■関連記事
国土強靱化 次期計画の素案公表 事業規模20兆円強に拡大
【法改正】20年ぶりの全面改正 下請法改正に備えよう
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。