帝国データバンク(東京都港区)が4月8日公表した「2024年度倒産集計」によると、倒産件数は前年比13.4%増の1万70件となり、3年連続で増加した。負債総額は同7.5%減の2兆2525億7200万円。「建設業」「運輸・通信業」「不動産業」「サービス業」など6業種では、過去10年で最多となった。「建設業」の倒産は1932件で同10.5%増加している。

業種別の分析結果(資料より引用)
主因別では、「販売不振」が8261件(同17.6%増)で最も多く、全体の8割を占めた。規模別では、「負債額5000万円未満」が6122件で最も多く、中小零細規模の倒産が顕著となっている。都道府県別では、「東京」(1738件)、「大阪」(1351件)などが上位に。地域別では、「北陸」(323件・同23.8%増)と「四国」(203件・同23.8%増)で増加率が高くなっている。
従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする「人手不足倒産」は、集計を始めた2013年以来で最多となる350件となり、そのうち111件を建設業が占めた。人材の確保や定着には賃上げとその原資となる価格転嫁が欠かせないが、建設業の価格転嫁率は39.6%にとどまっており、今後も「賃上げ難型」の人手不足倒産が高水準で推移することが予想される。
「物価高倒産」も建設業が最多
他に、後継者の不在により事業継続が困難となる「後継者難倒産」、新型コロナの影響で融資を受けた企業が返済できずに倒産する「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」、物価高を要因とした「物価高倒産」についても、建設業が最多となった。「後継者難倒産」は127件、「ゼロゼロ融資後倒産」は143件、「物価高(インフレ)倒産」は254件に上っている。

後継者難倒産・物価高倒産の内訳
同社の分析によると、建設業は他の業界と比較して労働環境が厳しいといった印象があり、後継者候補となる若年層から敬遠される傾向がある。その一方で、24年時点の社長の平均年齢は60.7歳、後継者難で倒産した企業の社長の平均年齢は69.4歳と高齢化が進んでいる。「後継者難倒産」を防ぐためにも、なるべく早いタイミングで後継者の選定・育成を進めることが望まれる。
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