帝国データバンク(TDB、東京都港区)が4月3日公表した2025年3月の「景気動向調査結果」によると、景気DIは前月から横ばいの43.5となった。「建設」のDIは46.7で同じく横ばいに。世界経済の不確実性が高まっていることから、当面横ばい傾向が続くと予想している。

建設業の景気DIの推移(資料をもとに作成)
業種別では10業界中7業界が改善。開発需要の高まりにより、「不動産」(DI:47.6)が3カ月ぶりの改善となり、地方部での景況感を押し上げた。一方、公共工事が低調に推移し、地域経済の景況感を押し下げる要因となっている。
建設企業の個別意見では、「光熱費の上昇などにより家庭用、産業用自家発電などの導入が増え、景気は良い方向に向かっている」(一般電気工事)といった声が聞かれた一方で、「原材料の高騰と人件費の上昇により利益が圧迫されている」(木造建築工事)、「予定していた工事の開始時期が延期になっており、端境期に入っている」(鉄骨工事)などの意見も見られた。
「東海」4カ月連続悪化
企業規模別では、「大企業」(DI:47.9)が前月比0.3ポイント減となり、2カ月ぶりに悪化。原材料費や人件費、運送費の上昇が収益を圧迫した。「中企業」(DI:42.7)、「小企業」(DI:41.6)はともに横ばいだった。
地域別では、「北海道」「東北」「北関東」「北陸」「東海」「九州」が悪化し、その他の地域が改善した。このうち「東海」(DI:43.1)は0.4 ポイント減となり、4カ月連続で悪化。新築マンション、オフィスビルなどの建築が頭打ちとなり、建材関連が大きく悪化している。「北関東」(DI:40.7)は、「建設」の物件数不足や公共工事の低調が景況感に響き、0.7ポイント減となった。

3月の地域別景気DI(資料より引用)
金利上昇に懸念の声
今後の見通しは、米国の関税引き上げによる世界経済の減速がマイナス材料になると予想。一方で大阪・関西万博の開催に伴い、IT関連で設備投資が底堅く推移する見込み。
建設業では、「住宅ローン金利上昇の追い打ちもあり、先行き不透明感が漂っている」(木造建築工事)、「物価高、資材の高騰、新築現場の減少による影響は続く見通し」(塗装工事)など、住宅関連を中心に厳しい声が聞かれた。その一方で、「マンションの大規模修繕の案件が相変わらず増えている。時期を調整することで適正価格での施工がしやすくなっており、良い傾向とみている」(建築工事)など、前向きな意見もあった。
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