1月14日、山口県下関市の安岡地区で、地域内の公共施設を再整備した複合施設「やすらガーデン」がオープンした。
事業者はPFI方式で公募され、市内に本社を置く安成工務店が代表企業を務めるモア・ザン・グリーン(以下「SPC」)の提案が採択された。
複合施設の設計・施工や維持管理の主体はSPCだが、周辺の民間活用地におけるエリアマネジメントを安成工務店のグループ会社で担い、市民が集まる公共施設を軸に賑わいを生み出していく。【編集長 荒井隆大】

「やすらガーデン」全景。公共施設と芝生広場を取り囲むように、安成工務店グループがマネジメントする民間事業地が広がっている
やすらガーデンは、下関市北部の安岡地区にあった公民館、市役所の支所、園芸センターを複合化し、新たに図書館を加えた公共施設。
敷地は園芸センターの跡地(約1万3600坪)で、集合施設棟・園芸棟・駐車場・芝生広場を約5000坪、都市公園を約5400坪とすることがあらかじめ決まっており、残りの約3200坪が自由提案可能な民間活用地とされた。
SPCグループの提案は、公共施設を取り囲むように飲食店(ブックカフェ、レストラン)や保育園、福祉施設、クリニック、シェアハウス、宅地などを配置するもの。
周辺の民間施設のうち、保育園やクリニックは他の事業者に賃貸し、飲食店や福祉施設、シェアハウスは安成工務店のグループ会社で運営まで手がける内容だった。
プロジェクト全体のマネジメントはSPCが担ったが、民間活用地における店舗の運営やテナント誘致を専任で担う体制を整えるため、運営母体として安成工務店の子会社「ローカル・エンターテイメント・デザイン」を設立。社長には安成工務店専務の中村圭さんが就任した。
図書館とは違う時間が過ごせるブックカフェ
民間活用地で最初に事業実装したのが、ブックカフェ「もしもし書店 café&books」。
店内には、やすらガーデンの計画にも携わった地域の教育関係者、ワークショップの専門家らが選書した本が並び、コーヒーやお菓子を楽しみながら本を読むことができる。
ただの書店やカフェではなく“選書された本”を置いているのがポイント。中村さんは「選書した人の思考に触れ、本を読む人に他の人が興味を持つことで、一種のコミュニティを疑似体験できる」と考える。
店名の「もしもし」も、気軽に声をかけ合えるように、という思いで命名したという。
前述の通り公共施設内にも図書館があるが、公共の図書館は会話や飲食が制限される。あえて・・・【残り1261文字、写真10枚】
この記事は新建ハウジング4月10日号6面(2025年4月10日発行)に掲載しています。
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