群栄美装(群馬県前橋市)の代表・井野優一さんはこのほど、前橋市内に、現時点での自社のフラッグシップモデルともなる自邸を完成させた。建物だけで7000万円を超えるような高価格帯案件の受注の安定化に向け、高所得者層への訴求力を高める弾みにしたい考えだ。完成後は、家づくりを検討する生活者(見込み客)だけでなく、全国各地の工務店関係者らも数多く視察に訪れ、注目度の高さをうかがわせた。【編集部 関卓実】
井野さん夫妻と、生後半年から中学2年生までの子ども7人の9人家族が暮らす住宅は「みんなの家」と名付けた。群馬県のシンボルで日本百名山にも選ばれている赤城山を北側に見晴らす約170坪の敷地に、中庭を囲むコの字型の平屋のコートハウスを新築した。
ビルトインガレージ14坪をあわせた延べ床面積は約68坪で、躯体は許容応力度計算による耐震等級3、断熱等級6(6地域・UA値0.31W/㎡K)、C値0.33㎠/㎡の性能。山長材(無垢の紀州材)を用いた大型パネル工法を採用した。
壁の断熱は、柱間にシュタイコゼル120㎜厚を充填し、大型パネルによってネオマフォーム50㎜厚の付加断熱を施した。屋根の断熱は、シュタイコゼル300㎜厚の吹き込み。基礎は、土間上に20㎜厚のミラフォームを敷き込みながら、立ち上がりと折り返し(幅910㎜)にネオマフォーム60㎜厚を張って断熱した。
窓については、LDKや中庭に面する廊下に、同社では初となるノルドの高断熱木製サッシ(トリプルガラス)を採用し、そのほかの寝室や子ども部屋などにはAPW430を用いた。玄関ドアは、ガデリウスの木製高断熱ドア。マーベックスの第一種熱交換換気システム・sumikaを導入し、換気とエアコンの組み合わせによって全館空調を行う。暖房は14畳用の床下エアコン1台で賄い、冷房に関しては6畳用の壁掛けエアコン3台によって全館をカバー。空調設計はJIN建築工房(愛知県名古屋市)に依頼した。

寄棟屋根の形状をそのままあらわしにした勾配天井が空間を包み込むLDK
家のどこからも見える中庭
広い廊下は多目的空間に
井野さんは、プランの特徴を・・・【残り1852文字、写真16点、平面図・短径図】
この記事は新建ハウジング4月10日号4面(2025年4月10日発行)に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。