国土交通省は3月28日、駐車場条例のひな型となる「標準駐車場条例」(PDF)を改正し、不特定多数の人が出入りする「特定用途」に共同住宅を追加した。これにより地方自治体が、共同住宅の建物またはその敷地内に荷さばき用の駐車施設の設置を義務付けることが可能となった。「駐車場法施行令」の施行は2026年4月1日を予定している。
改正の背景には、通信販売の利用と共同住宅への配送需要の増加、物流の「2024年問題」への対応などが存在する。公共交通の利用促進や歩行者の安全性の確保、輸送車両の大型化への対応も理由として挙がっている。
「2000㎡」かつ「50戸以上」が対象
超高層共同住宅の多い都市部など地域差もあるため、具体的な基準については地方自治体が定める。標準的な基準としては、2000㎡かつ50戸以上の共同住宅に対し、100戸あたり1台の荷さばき駐車施設を設置することを目安としている。
ただし、大規模な物件の場合、駐車需要が縮小される傾向があるため、現状に応じて400戸以上は基準の0.5倍、800戸以上は0.25倍などに調整する必要がある。駐車施設の規模については、一般的に使用される2トン車が安全に出入りできることを前提に、幅3m以上、奥行き7.7m以上、はり下の高さ3.2m以上と定めた。

戸数と必要荷さばき駐車施設数(資料より引用)
市長判断で免除・緩和も可
駐車施設の整備と同等以上の効力があると認められる場合には、市長の判断で設置の免除や緩和を行うこともできる。例えば、地域で共同の荷さばきスペースを整備する場合、十分な広さのセットバックや車寄せスペースがある場合、複数の配送事業者が貨物を集約し、駐車時間を短縮する場合などが該当する。
他に、改正内容として盛り込まれたものの、引き続き議論が必要な内容については「技術的助言」(PDF)に示した。具体的には、▽公共交通利用促進による義務の緩和▽駐車場集約による歩行者の安全性の確保▽小型車や自動二輪車など多様な駐車施設の確保▽ユニバーサルデザイン・バリアフリーへの対応―などがある。これらについては現状調査を実施した上で今後、内容の検討を行う。
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