国土交通省は3月27日、2025年版の「公共建築工事標準仕様書」を公表した。国が発注する一般的な事務庁舎の品質・性能の確保、設計図書作成の効率化、施工の合理化を図ることを目的として、おおむね3年周期で改定しているもの。今回の改定では働き方改革、生産性向上への配慮、木材利用の推進などの施策などを盛り込んだ。これらの技術基準は4月1日から、官庁営繕工事で適用される。
改定されたのは、①公共建築工事標準仕様書(建築工事編、電気設備工事編、機械設備工事編)、②公共建築改修工事標準仕様書 (同)、③公共建築木造工事標準仕様書、④公共建築設備工事標準図 (電気設備工事編、機械設備工事編)の各書。
◆参考:国土交通省「官庁営繕の技術基準」(3-5.標準仕様書関連)
働き方改革に関する内容では、工期の変更について受発注者間で円滑な協議を行うため、全体工期に影響を及ぼす事由が生じた場合に、監督職員へ報告する規定を追加した。具体的には、▽設計図書に訂正・変更がある場合▽工事の全部または一部施工の一時中止による場合▽著しい悪天候や気象状況により作業不能日が多く発生した場合▽資機材、労務の需給環境の変化が生じた場合▽関連工事の調整に協力する場合▽その他、受注者の責めに帰すことができない事由が生じた場合―が該当する。
また生産性向上への配慮として、「情報共有システム(ASP)」を用いた書面の提出や、遠隔臨場(動画撮影用カメラ・ウェブ会議システムなどを活用した監督職員の立会い)についての規定を加えた。
「公共建築木造工事標準仕様書」(PDF)では、「都市の木造化推進法」(2021年10月)※を踏まえ、混構造を含めた多様な木造化に対応できるよう見直しを行った。
※正式名称: 脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律
他に、改正建設業法・公共工事入札契約適正化法(入契法)などの関係法令、基準・規格などとの整合、全国的な市場性や施工実態を踏まえた仕様の見直しなどを行っている。
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