国土交通省および防衛省と、住宅生産団体連合会(住団連)は3月28日、退職自衛官の再就職支援などについて連携強化を図る目的で「住宅産業及び自衛隊における人材確保の取組に係る申し合わせ」を締結した。
この申し合わせは、退職自衛官の採用に関する取り組みを双方間で実施するもの。住宅産業で必要あるいは有用となる資格に関する情報や、住宅産業に従事する退職自衛官の活躍事例などを防衛省に提供することで、住宅産業への再就職を促す考えだ。
建設資格保有者を即戦力に
主な取り組みは、▽採用に関する広報(必要な資格、勤務環境、キャリアパスなど)の積極的な実施▽業種説明会の実施▽インターンシップ機会の設定▽職業訓練の充実▽予備自衛官制度への協力―など。自衛隊には、基地や陣地の建設・維持・整備に関わる部隊が存在し、建設関係の資格や免許を取得している人が多数いることから、建設業界での即戦力としての活用が期待されている。
就業時もしくは退職時に隊員が保有・取得可能な資格は、大型特殊自動車・車両系建設機械などの運転資格、電気通信関係資格、危険物取扱者資格など。数としては多くはないが、建築士や測量士などの資格を保有する者もいる。
予備自衛官採用によるメリットも
予備自衛官制度は、普段は企業で働きながら有事や災害などの際に招集を受けて自衛官として活動する制度。区分や職種により、年間5日間~30日間の訓練に従事することが求められる。その一方で即応予備自衛官(元自衛官)を採用した場合、隊員本人に国から手当が支給されるほか、雇用する企業にもひと月あたり4万2500円が支給される。さらに防衛省が発注する自衛隊施設の建設工事の入札時に、総合評価方式で加点措置を受けることができる。
自衛官は、一般の公務員よりも若い年齢で定年または任期満了で退職するため、再就職先を必要としている。退職時の年齢は、任期制では20代前半から30代後半、若年定年制では50代半ば。2023年度の退職者は任期満了が約3400人(うち再就職決定者は1166人)、定年が約4200人(同2992人)だった。再就職先はサービス業が最多で3~4割を占め、建設業への再就職は任期制では22.6%、若年定年制では5.1%にとどまっている。

自衛官の再就職状況(防衛省HPより引用)
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