帝国データバンク(東京都新宿区)が3月25日に公表した「雇用動向に関する企業の意識調査(2025年)」によると、「正社員の採用予定がある」企業の割合は58.8%で、4年ぶりに6割を切った。その一方で、「採用予定はない」と答えた企業は同1.5ポイント増の28.5%となり、2年連続で上昇した。建設業では64.0%が「採用予定がある」と回答している。
中小企業では人手不足が続いているが、人件費の高騰や業績不振などを理由に求人を控える傾向が見られる。同調査は、全国2万6815社を対象に2月に実施したもので、有効回答数は1万835社(回答率40.4%)。

正社員の採用予定がある割合(資料より引用)
小規模ほど採用の余裕なく
企業の規模別では、「大企業」は83.6%、「中小企業」は54.4%(うち小規模企業は35.9%)となるなど、企業規模が小さいほど割合が低くなっている。採用形態別では、「新卒新入社員」が37.1%、「中途社員」が51.0%となっており、教育しなければならない新卒新入社員よりも、即戦力となる中途社員が望まれる傾向にある。
一方、非正規社員の採用予定は、前年度から4.2ポイント低下し、41.7%となった。「採用予定はない」と答えた企業は同2.1ポイント増の42.5%で、2年連続で4割を超えた。建設業では30.8%の企業が非正規社員の採用を予定している。
個別意見では、「以前から非正社員の採用はしておらず、正社員の長く勤務してもらうことを目指している」(製造)、「最低賃金の上昇は労働者には良い条件になるが、中小企業の経営は苦しく、国の助成が必要」(小売)、「新卒も採用予定はあるが、教育を整備しても定着が厳しく経費がかかる」(卸売)などの声があった。

正社員・非正社員の人手不足割合(資料より引用)
同社はこれらの結果を踏まえ、「物価高騰の中で価格転嫁が進まず、人件費の原資確保が容易でない状況下で人手不足が長期化すれば、中小企業の事業継続にも影響を与えかねない。今後、企業にとってシニアや外国人など多様な人材の採用が重要なカギとなるだろう」と分析している。
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