奥村組(大阪市)と積水化学工業(大阪市)住宅カンパニー、リノベる(東京都港区)の3社は3月25日、全戸ZEH水準にリノベーションした築48年の集合住宅がこのほど竣工したと発表した。4月から賃貸マンション「OC RESIDENCE R NISHINOMIYA OGO(オーシー レジデンス アール 西宮大箇)」(兵庫県西宮市)として入居を開始する。RC造・地上7階建て、1LDK~3LDKの全46戸。敷地面積1850.31㎡、延べ床面積3552.67㎡。
奥村組が使用していた築48年の社宅を1棟リノベーションして再生する3社協業プロジェクトによるもので、今回が3社にとって初の1棟全戸ZEH水準の賃貸マンションとなる。なお、同物件は奥村組がCRE戦略として、リノベるとともに推進する社宅6棟改修プロジェクトの1つにもなっている。
事業主は奥村組、事業企画・設計は奥村組とリノベるが共同で実施。設計監理・施工、サブリーサーマッチングをリノベるが担当し、温熱計算を含むZEH水準リノベーションの設計には積水化学が協力した。竣工後は奥村組が賃貸住宅事業を行う。

「OC RESIDENCE R NISHINOMIYA OGO」外観イメージパース
同物件は、全住戸でBELSの「ZEH Oriented」を取得。構造体以外を解体・撤去するスケルトン工事を実施し、インナーサッシの新設、高効率エアコンや省エネ高効率給湯器、高断熱浴槽への更新、ヘッダー方式の給湯・給水管を新設したほか、断熱に積水化学グループが展開する「マルリノ」の断熱特許工法を採用した。
UA値0.50、一次エネルギー消費量は省エネ基準より28~31%削減し、年間約3~4万円の光熱費削減効果が期待できるという。全住戸で「省エネ性能ラベル」を表示する。
共用部・専有部の各所には、自然を都市や建築に取り込む「バイオフィリックデザイン」を採用。住民同士のコミュニケーションを誘発する中庭を、建物中央に計画した。生物とふれあえる緑地帯を設けたほか、全住戸でペット飼育が可能となっている。
内装は「リノベる。」のデザインノウハウを取り入れ、シンプルな北欧テイストで仕上げた。全住戸外とつながる街路をイメージした設計で、室内にもバイオフィリックデザイン思想を取り入れている。

専有部イメージパース
積水化学とリノベるは、住宅ストックの再生・利活用に向けパートナーシップを構築し、マンションのZEH水準リノベーションのサービス提供を推進してきた。今回は、奥村組のCRE(企業保有不動産)を活用し、3社協業での全戸ZEH水準リノベーションを実現。4月から新築住宅で義務化される基準と同等以上の省エネ性能の住戸に再生した。
■関連記事
グローバルベイス×ダルトン、東京練馬にマンションリノベモデル
初のマンションリノベ完成「他社には真似できない事例に」—オガスタ新潟
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。