木を活かす建築推進協議会(東京都港区)はこのほど、2025年3月版『ここまでできる 木造建築のすすめ』(PDF)を発行した。2021年3月に発行した第5版を、2024年7月までの改正法令・告示などに基づいて改訂したもの。共同住宅、事務所、学校など用途別に適用される法令を整理し、解説している。用途別以外では、木造と防火、構造設計・構造計算について、耐火建築物で満たすべき技術的基準、構法別に必要な構造計算(確認内容)をまとめている。

『ここまでできる 木造建築のすすめ』の表紙
用途別で取り上げた建築物は、事務所・庁舎、店舗、共同住宅、学校、幼稚園、保育所、図書館、体育館、集会場・ホール、宿泊施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、畜舎。
このうち共同住宅では、建築物の耐火上の要件、内装制限、防火区画、立地制限などについて解説している。事例では、矢吹町中町第一災害公営住宅(福島県)、美祢・来福台県営住宅(山口県)、九州大学・伊都ゲストハウス(福岡県)、吉野石膏・蔵波台社宅(千葉県)を取り上げた。

掲載例
また、「木造と防火」では準耐火建築物、耐火構造と準耐火構造の告示仕様、立地による制限、用途による制限、規模による制限、防火壁と防火区画、別棟みなし、外装材の制限、木材と内装の制限について解説している。
2022年の建築基準法改定では、高さ16m超、4階建て以上、延べ面積3000㎡といった比較的規模の大きな建築物で、耐火建築物・耐火構造以外の選択が可能となった。これにより中大規模木造における準耐火建築物に関する設計手法が大きく変化した。さらに、耐火構造による耐火建築物内の特定区画で、火災時の損傷が建築物全体への倒壊・延焼に影響しない範囲であれば、その区画をあらわしの木造で設計することが可能となった。
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