政府は3月4日、「駐車場法の一部を改正する政令」を閣議決定し、地方自治体が共同住宅への荷さばき駐車スペースの附置(設置)を義務化しやすくなる内容に見直した。共同住宅を、自動車の駐車需要を生じさせる「特定用途」として追加する。近年の超高層共同住宅の増加や宅配需要の増加に対応したもの。公布は2025年3月7日、施行は26年4月1日。
条例制定済(予定)の自治体は3%
共同住宅の新築時に、建築物またはその敷地内に荷さばき駐車施設を設置することについては、これまでも駐車場法により条例で義務化することは可能となっていた。しかし、標準駐車場条例で共同住宅は「特定用途」に含まれていなかったことから、多くの自治体では荷さばき駐車施設の設置を義務付けしていなかった。駐車場施策で荷さばき駐車場の整備・確保を実施済または実施予定の自治体は、2024年8月時点で3.3%にとどまっている。

全国自治体が実施済・予定の駐車場施策
(「まちづくりにおける駐車場政策のあり方検討会」資料より抜粋)
東京都などの一部で義務化
一方、すでに共同住宅の荷さばきスペースを義務付けもしくは誘導している自治体では、建築紛争の予防と調整を主な目的として、荷さばき駐車施設を1以上設置することを条例で制定。宅配車両以外にも、引っ越し車両、緊急車両、居住者の送迎などの一時駐車スペースとして確保することを求めている。
例えば仙台市では、20戸以上の共同住宅を対象に貨物自動車または訪問者用の自動車1台を駐車できる場所を確保することを要請。東京都では13特別区と4政令市で、条例または指導要綱により、荷さばきスペースを1カ所以上設置することを義務付けまたは誘導している。
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