老朽化マンションの管理・再生円滑化のための改正法案が3月4日に閣議決定され、「マンション管理法」「マンション再生法」「区分所有法」の一部が見直された。適正な管理を促す仕組みの充実、多様なニーズに対応した建替えの推進、新たな再生手法の創設などを行い、マンション再生の円滑化を図る。

管理・再生円滑化のイメージ(資料より引用)
自治体が再生を後押し
再生の円滑化に向けては、地方自治体がマンションの再生に必要な施策を講ずることが明記された。外壁剥落など危険な状態にあるマンションへの報告徴収、助言指導・勧告、あっせんなどを自治体が担う。さらに区分所有者の意向把握、合意形成の支援などの取組を行う民間団体の登録制度を創設し、民間団体との連携を強化する。
また、建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊しの決議において、区分所有者による多数決が可能に。耐震性不足、配管設備の損傷などの場合は3/4以上、大規模な火災・震災などによる被災の場合は2/3以上の賛成で決議できる(※要件あり)。これらの決議に対応した事業手続措置も新たに整備される。

多数決による決議例(資料より引用)
他に、隣接地を取り込む建替えや借地権型マンションから所有権型マンションへの建替えを行う場合に、隣接地や底地の所有権を建替え後のマンションの区分所有権に変換することが可能となる。斜線制限など高さ制限への抵触により建替えが困難となっている場合についても、市街地環境に支障がない範囲で特定行政庁の許可による特例措置が適用される。
管理計画を分譲事業者が作成
マンション管理の円滑化では、新築時から適切な管理や修繕を行うため、長期修繕計画や修繕積立金の額を定めた管理計画を分譲事業者が作成し、管理組合に引き継ぐ仕組みを導入する。ただし、管理業者が管理組合の代表者を兼ねる「管理業者管理者方式」を採用している場合、工事の発注者として業者との談合やリベートを行う懸念があるため、区分所有者の意向を反映させるための事前説明を行うことを義務化する。
他にマンションに特化した財産管理制度を創設。区分所有者が不明の場合に専有部分・共有部分の管理を裁判所が選任する管理人が行えるようにする。
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