YKK不動産(東京都千代田区)は3月12日、2023年9月に着工したパッシブタウン第5街区(富山県黒部市)の新築工事が竣工したと発表した。住居棟・付属建物の合計敷地面積1万6278㎡、建築面積2740㎡。総事業費は86億円。
全5街区からなるパッシブタウンは、ローエネルギーな「まちづくり・住まいづくり」を提案する取り組みで、前期街区(第1~第3)ではパッシブデザインで自然エネルギーを活かしたサステナブルな住空間を探求。後期街区(第4~第5街区)では、前期街区で得た知見をもとに、地域産木材と再生可能エネルギーを活用した脱炭素に挑戦した。

パッシブタウン第5街区外観
第5街区は、富山県産木材を最大限活用した北陸初の木造中高層集合住宅。コンクリート部分には可能な限り低炭素型の「ECMコンクリート」を採用し、建設時のCO2排出量を大幅に削減した。同規模のRC造集合住宅と比較すると、建設時に排出されるCO2排出量は約半分となる見込み。富山県東部の伐採跡地にはスギの苗木200本を植樹し、建設時のカーボンニュートラル実現をめざす。
外壁・柱・梁などで熱橋や内部結露が起こらない断面設計としたほか、トリプルガラス木製窓「APW 651」により高気密・高断熱の室内環境を実現し、Ua値0.23を達成した。太陽光発電に加え、住宅3棟のうち1棟には水素エネルギー供給システム「Power to Gas(P2G)」を実装。余剰電力をシーズンシフトすることでエネルギー自給率が95%になると予測され、災害時の防災拠点となるよう整備を進めていく。
第5街区では、パッシブデザインによる省エネと太陽光を活用した創エネ、P2Gで可能になった季節を超えての蓄エネにより、資材調達から解体・廃棄までのライフサイクル全体で排出されるCO2排出量を、同規模のRC造集合住宅の約60%減とする見通し。

内観(左)、各棟をつなぐ回廊(右)
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