国土交通省は2月21日、主要都市(全国80地区)の高度利用地などにおける地価動向を調査した「2024年第4四半期・地価LOOKレポート」(24年10月1日~25年1月1日調査分)を公表した。調査結果によると、4期連続で住宅地・商業地の全地区で地価が上昇。このうち住宅地は11期連続、商業地は4期連続での上昇となった。上昇率は6地区で「上昇(3~6%)」、74地区で「上昇(0~3%)」となっている。
上昇の要因として、住宅地では利便性や住環境の優れた地区を中心にマンション需要が堅調だったことを挙げた。商業地では再開発事業の進展や観光客の増加による店舗・ホテル需要の増加が主な要因となっている。

変動率区分の推移(資料より引用)
住宅地は全体的に緩やかに上昇。変動率区分には変化はなかったものの22地区すべてで上昇した。商業地は58地区のすべてで上昇。「池袋東口」で変動率区分が「上昇(0~3%)」から「上昇(3~6%)」に移行した。
住宅地のうち最も地価が上昇している福岡県大濠では、利便性に優れた築浅賃貸マンションを中心に家賃が上昇。立地条件が良好な物件で価格転嫁が進み、取引価格は高額に推移した。今後も好況な市況が当面続くと予想され、地価動向は上昇傾向で推移する見込み。
札幌「円山ブランド」の需要堅調
「円山ブランド」として知られる北海道札幌市宮の森では、人口の増加により住宅需要が堅調。建設コストや人件費の高騰、道内外の富裕層からの資金流入を背景に、マンション分譲価格が高価格帯に位置している。中古マンション市場も居住を目的とした実需層からの取得意欲により活況。地価動向はブランド力を備えた高級住宅地としての需要により、引き続き上昇が続く見通しとなっている。
商業地では、再開発事業が進む東京都池袋東口周辺で地価が大きく上昇。立地条件の優良な店舗で空室率が低下し、賃料水準にも一段と上昇傾向が見られる。一方、オフィス物件は供給の増加により賃料が横ばいとなった。地価動向は今後も地域経済と商況の回復傾向により、上昇することが予想される。
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