山弘(兵庫県宍粟市)は1月、たつの市内に新たなモデルハウス「龍野モデルハウス」を開設した。建物は、2016年から出展していた姫路市内の総合展示場に建てた「五軒邸モデルハウス」を移築したもの。狙っていた層の来場が少なく、スタッフの負担も大きかった総展を撤退して集客戦略を転換する一方、工務店として建物を大切にしたい、と手間とコストをかけて移築する道を選んだ。【編集長 荒井隆大】
社長の三渡眞介さんが総展への出展を決めたのは、同社が製材業として創業したことに関連する。製材の出荷量(材積)を、新築住宅の受注拡大によって増やそうとしたのだ。「新築住宅はモデルハウス集客が当然」という考えを、単独展示場「はりまの杜」の成果(新築受注が20棟まで増加)が後押しした。
また、集客が増えることで、営業の人材育成にもなると考えていたという。場数を踏ませるために、総展には若手の営業スタッフ6~7人を配置した。
来場者と自社のペルソナが一致せず受注に苦戦
総展への出展によって地域での認知度が向上し、木や自然素材を全面に押し出した独自性でブランドも確立できた。さらに、リフォーム・リノベーションがメジャーになりだしたタイミングとも重なったので「リノベーションを視野に入れている人の選択肢は山弘一択」に。リフォーム・リノベの受注は約4倍に伸びた。
一方、来場者の多くは20代から30代で、三渡さんが狙っていた40代前半の来場者は少数派。このずれが影響し、成約率は「来場者100組中2組」と苦戦していた。
それでも「営業が育つために集客数は必要だから」と出展を続けた。しかし、来場者があれば、成約の見込みがどんなに薄くても応対しなくてはならないため、スタッフは疲弊。離職者も出てしまった。
そしてコロナ禍を経て、いよいよ「総展なのに飛び込みの来場者がおらず、ネットで来場予約した人ばかり」という状況に・・・
この記事は新建ハウジング2月28日号2面(2025年2月28日発行)に掲載しています。
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