国土交通省は2月10日に開かれた国土審議会第17回豪雪地帯対策分科会の中で、今冬の雪の状況および豪雪地帯対策における施策の実施状況などを報告し、今後取り組むべき対策について審議した。
それによると、2月5日現在における豪雪地帯(積雪観測地点:259箇所)の降雪量は、過去10年間との比較では平年並みである一方、局所的には豪雪となっており、中でも青森県青森市では例年を上回る記録的な降雪となっている。また、2024年度中の除雪作業中の死者数は累計で34人となり、その約8割が屋根からの転落や落雪によるものだった。

今冬の降雪状況(審議会資料より抜粋)
地域維持事業の担い手確保へ
国土交通省では近年の積雪状況などを踏まえて、豪雪地帯対策特別措置法(2022年改正)に基づいた各種施策を実施。幹線道路の交通の確保、命綱固定アンカーの設置促進、克雪に関する技術の開発・普及などを促進している。さらに地域の住宅政策の一環として「克雪住宅」の普及を進めている。

自治体に対する支援対象事業の例(審議会資料より抜粋)
他に、地域維持事業の担い手を確保する施策として、除雪に要する経費の適切な計上を発注者に要請。2024年12月に改正された品確法の基本方針で持続的な除雪体制の確保について明記されたことに触れ、事前の待機が必要となる場合や少雪時の固定的経費についても計上するよう求めている。
また、除排雪を含む地域の社会資本の維持管理業務(災害応急対策、除雪、修繕、パトロールなど)で、包括的に複数業務を発注する地域維持型契約方式を採用するよう地方公共団体に要望。業務・工事を個別に受発注するのではなく、複数年契約・一括発注・共同受注することで、人・機械を効率的に活用する必要があるとした。

地域維持型契約方式(審議会資料より引用)
事例紹介では、新潟県の除雪オペレータの担い手確保に向けた取り組みを説明。同県では、除雪オペレータの資格要件である大型特殊免許の取得支援や、除雪PRイベントやオペレータ表彰の開催、補助装置導入による一人乗務(ワンオペ)の試行などを実施している。
《参考資料》
・「克雪住宅ガイドブック」新潟県(PDF)
・「屋根雪下ろし 命綱固定アンカー ガイドブック」新潟県(PDF)
■関連記事
京セラ、多雪地域向けの410W太陽電池モジュールを発売
内閣府、降雪時の防災態勢強化を通知 手引きの活用を呼び掛け
石川県の積雪対策 除雪体制強化、建設業協会に協力依頼
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。