富士経済(東京都中央区)はこのほど、グリーン電力(水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電力)の国内市場を調査した結果を「発電~調達~小売に至るグリーン電力市場の全体像・将来予測調査 2025」にまとめた。
現状のグリーン電力小売市場は、製造業などの大企業や地方自治体、官公庁など大規模需要家向けの特別高圧電力が5割以上を占めており、2024年度は9032億円を見込む。今後は、RE100加盟企業などが2030年度もしくは2035年度をグリーン電力導入の中間目標にしているほか、多数のSBTi参加企業が2030年をSCOPE1+2におけるGHG排出量削減目標に設定、また2050年にCO2排出量実質ゼロを表明する自治体も増えていることから、高圧/特別高圧電力を中心に需要が拡大。2040年度の市場規模は、2023年度比6.9倍の4兆7359億円と予測した。
太陽光発電PPAサービス市場は、東京都や京都府、京都市、群馬県、川崎市などで中小規模建築物への太陽光発電システム導入義務化などが進められていることから、2024年度は721億円を見込む。
市場は、太陽光発電システムを需要家の敷地内に設置するオンサイトPPAと、需要家の敷地外に設置するオフサイトPPAに分けられ、現在は8割強をオンサイトPPAが占める。一方、屋根設置型の案件減少や電気料金高騰などを背景に、オフサイトPPAも増加している。中長期的には、中小規模建築物への太陽光発電システムの設置を義務づける地方自治体が増加するとみられ、住宅向けのオンサイトPPAが伸長すると予想。
非住宅向けは、PPAサービスの価格優位性により2020年代半ばまでオンサイトPPAの普及が拡大するが、以降は適地減少などでオフサイトPPAが大きく伸長し、市場拡大に貢献するとみられる。2040年度の太陽光発電PPAサービス市場は、2023年度比6.8倍の3709億円と予測する。
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