富士経済(東京都中央区)は2月17日、LED照明製品や照明ソリューション市場を調査した結果を「2025年版 次世代照明“Lighting5.0”を見据えた照明市場の現状と将来展望に関する調査」にまとめた。
Lighting5.0は、健康、安全、快適、便利などをキーワードに掲げる高付加価値な次世代照明。単なる光源としての役割を超え、さまざまなモノやコトとつながることで豊かな暮らしを実現すべく、業界では各社が高付加価値照明の普及を加速させている。
調査結果によると、2040年のLED照明製品(LED管球ランプ+LED照明器具)の国内市場は、2023年比25%減の5283億円と予測。2020年から2023年は、コロナ禍からの需要回復や電気代高騰に伴う省エネ対策意識の向上、脱炭素政策の強化、製品値上げなどにより市場が拡大した。2027年の蛍光灯の製造終了によるLED製品への切り替え需要のピークは、消費者の認知度向上とユーザーへの対応が進む2027年前後になるとみられる。2030年までは切り替え需要や首都圏の再開発案件などによる需要の増加で、堅調な市場推移が予想されるが、それ以降は人口減や建設需要減などにより縮小していくと予測する。
一方、Lighting5.0の進展で、2040年の照明ソリューション市場は、2023年比2.1倍の3687億円と予測。LED照明製品の需要減を見越し、参入企業ではLED化が完了したユーザーに対して照明制御とカメラや音響、映像演出を連携したソリューション提案を行っている。2030年以降は、照明に新たな価値をもたらすソリューションの発展により、成長が加速すると予想される。
注目市場としては、HIDランプや蛍光灯の生産終了に伴い、2025年以降、照明器具にLEDを組み込んだ「LED一体型ベースライト(バータイプ)」の需要が拡大すると予想。2027年のピーク時は、2023年比10.5%増の1280億円と予測するが、以降は改修需要が落ち着き、2040年の市場は945億円を見込む。
省エネ・省施工に優れた「無線式照明制御ソリューション(照明器具含む)」は、2020年以降順調に拡大。2024年から2025年には、主要各社が小規模向け無線制御システムの新商品を投入するなど、さらに市場は拡大すると予測。空間演出による付加価値向上の提案など、新たな価値創出に向けた開発が進んでいるほか、案件の大規模化もみられる。空間プラットフォームや上位システム(EMS、ビルオートメーションシステム、建物OSなど)との連携も増加し、質的な向上も進むとみられる。2040年の市場規模は、1320億円(2023年比3.8倍)と予測した。
■関連記事
注文住宅、差別化提案に照明は必須 実践手法を専門家が解説
2040年度住設建材市場 着工減などで4兆円に届かず―富士経済
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。