住宅や住環境に関する調査・研究を行っている住環境研究所(東京都千代田区)は、セキスイハイムの約20万件の間取り図面をデータベース化し、2018年度から2022年度に着工したボリュームゾーンの住宅(2階建て・単世帯)の間取りの変化について調査を行った。調査結果によると、バルコニーや和室が大きく減少し、効率的で実用的な空間のニーズが高まっていることがわかった。
ベランダを含むバルコニーを採用しない住宅は、2018年度の10.8%から、2022年度には30.6%にまで増加した(グラフ①)。特に30歳未満では、37.9%がバルコニーなしを選択している(グラフ②)。
これに対して、バルコニーの代わりに「ランドリールーム」や「洗面・脱衣室に物干しスペース」を設ける住宅が増加しており、2022年にはバルコニー不採用の住宅の68.3%がこのスタイルだった。共働き世帯の増加により、夜間の洗濯や乾燥機の利用が一般的になり、家事動線を効率的にするための設計が重視されていることを裏付ける結果となった。
和室や畳コーナーについても、和室の採用率は減少し、2018年度から2022年度にかけて「和室・畳コーナーなし」の住宅が28.0%から49.7%に増加した(グラフ③)。一方で、リビング内に小規模な畳コーナーを設ける住宅は一定数維持されており、特に若年層での採用率が高いことがわかった(グラフ④)。これは、畳スペースが幼児の遊び場やくつろぎの場所として需要があるためと考えられる。
また、畳に対して「便利なイメージ」や「あると良い」と考える若年層が多いこともわかった。コストやスペースを効率的に使いたいと考える若年層にとって、畳コーナーは多目的に活用できるため、人気のある選択肢となっているようだ。
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