国土交通省は3月1日から7日まで、2024年度春季の「建築物防災週間」を実施する。発生の切迫性が指摘されている南海トラフ地震や首都直下地震などに備えるため、建築物の防災知識の普及や防災関係法令・制度の周知徹底を図る考え。
主な取り組みは、▽住宅・建築物の耐震化の促進▽建築物の使用継続、復旧復興を容易にする対策▽建築物密集地域における防災対策▽建築物などに対する定期報告の徹底―など。一般向けに防災・耐震化などに活用できる制度やマニュアルを紹介している。
住宅・建築物の耐震化の促進では、「高齢者向け耐震改修融資(リバースモーゲージ型)」や「住宅・建築物耐震改修事業」の活用を推進。高齢者向けの耐震改修融資では、住宅金融支援機構の「リ・バース60」を活用することで、耐震化工事に必要な費用を無利子または低利子で提供する。

耐震改修融資のスキーム(資料より引用)
補正予算で補助額引き上げ
住宅・建築物耐震改修事業は、戸建て住宅やマンション、非住宅建築物の耐震診断や補強、耐震改修、建替え・除却などに対して支援を行うもの。2024年度補正予算で補助額の引き上げを行い、戸建て住宅で耐震改修工事を行った場合に、1戸につき最大83.8万円→97.86万円(多雪区域は100.4万円→117.32万円)を助成することとなった。

住宅・建築物耐震改修事業(資料より引用)
また、耐震化の取り組み事例を紹介する「木造住宅の安全確保方策マニュアル」(PDF)、建築物の使用継続や復旧復興を容易にするための資料として、「防災拠点等となる建築物に係る機能継続ガイドライン」(PDF)、内壁や外壁などの落下やガラスの被害を防ぐための「既存建築物の非構造部材の耐震診断指針・同解説」などの活用を呼び掛けている。
他に、建築物密集地域における防災対策では、密集市街地の早急な改善整備に向け、避難路や延焼遮断帯となる道路の整備、公園などのまとまった空地の確保、共同建替や個々の住宅の建替えなどを推進する。
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