「家匠 神崎」の屋号で、横浜や湘南エリア、東京都内の一部を中心に神崎(神奈川県横浜市)が展開する、都市型の快適な暮らしを支えるナチュラルモダンの住宅が人気だ。全社員で1年以上かけて決めた「しあわせが、土台です。」をコンセプトに掲げ、家族(住まい手)の幸せを基準にした家づくりを実践。社長の神崎政昭さんをはじめとするスタッフのアットホームな雰囲気と、横浜などに多い狭小地・変形地でも狭さや不便さを感じさせない、経験に裏打ちされたプランニングが強みとなり、安定的な受注を継続している。【編集部 関卓実】

横浜市内で運用中の建売型モデルハウスの外観。限られた敷地のなかでもプランの工夫により、使いやすい駐車場や玄関へのゆとりのあるアプローチ、十分な植栽スペースが確保されている
同社には営業の専門職はおらず、プロモーションもInstagramやFacebookなどSNSを活用して自前で行っているため、広告宣伝コストはほとんどかけていない。そんななかで、安定的な集客・受注のエンジンになっているのが、建売型のモデルハウス戦略だ。
横浜市内で長い社歴を築くなかで培ってきた経験と目利きによって、コスパが良い(割安感がある)と判断した土地を取得し、意匠・性能など自社の家づくりの仕様や世界観を具現化した建売住宅を建築。買い手が決まるまで常設モデルハウスとして運用する。「どんなに言葉を尽くして説明するよりも、見て体感してもらうのが一番」と神崎さんは話す。
モデルで伝えるのは「自然素材と高度な技術で実現する心と体に優しい家」だ。断熱性能は断熱等級6以上で、耐震性能は、よほどの狭小地や変形地でどうしても難しいケースを除いて耐震等級3(許容応力度計算)が標準仕様。断熱材には環境性能にも配慮してセルロースファイバーを用いる。
換気は、第一種熱交換換気で、30坪前後の大きさの住宅の場合は、1階、2階のそれぞれに設置する壁掛けエアコン(4kW)1台ずつで全館冷暖房を行う。壁の裏や1、2階の階間に通気層を設けて、換気の経路にあわせて冷気や暖気を回すことで、躯体全体を暖めたり、冷やしたりして、居室間の温度差がない上質な温熱環境を生み出す。神崎さんは「モデルに来てもらえれば、スリッパいらずで、夏冬の布団の入れ替えが必要ない暮らしを身をもって体感してもらえる」と話す。
建売型モデルには先行投資が必要となるが、商圏内の生活者の住宅取得意欲は旺盛で、売れ残ることはない。むしろ・・・
この記事は新建ハウジング2月20日号3面(2025年2月20日発行)に掲載しています。
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