弁護士・秋野卓生さんが、工務店が知っておくべき法律知識を毎月20日号で解説する本連載。今号は、改正される見通しの「下請法」について、工務店が押さえておくべきポイントを解説します。
公正取引委員会は2025年の通常国会に、下請代金支払遅延等防止法(下請法)と下請中小企業振興法の一部改正案を提出する方針を発表しました。中小企業の取り引きの適正化を図るため「下請事業者」を「中小受託事業者(仮称)」に改称するとともに、価格転嫁の問題だけでなく代金支払、型取引、知的財産の保護、さらには「歩引き」や協賛金、手数料等の強要禁止にまで踏み込もうとするものであり、住宅業界においても重要な法改正となります。
下請法違反のペナルティ
公正取引委員会や中小企業庁は、下請法の違反行為を厳しく取り締まっています。また、下請取引が公正に行われているかを調査するため、親事業者、下請事業者に対して書面調査を行い、必要があれば、取引記録の調査や立入検査も行っています。
そして、下請法に違反する行為が見つかった場合、公正取引委員会や中小企業庁は、禁止行為の取りやめ、原状回復、再発防止措置などを求める勧告を、違反企業に対して行います。
勧告を受けた違反企業は、「改善報告書」を提出しなければなりません。ちなみに、この「勧告」はただの注意ではなく、正式な法的措置として一定の拘束力を持っています。この勧告を受けると、勧告の内容に従うかどうかに関わらず、企業名、違反内容、勧告内容が公表されます。
下請法に違反したことが広く世間に知られることにより、自社の評判が低下したり、今後の取り引きに影響が出たりすることもあるでしょう。勧告が公表されることによる不利益は計り知れません。
さらに・・・
この記事は新建ハウジング2月20日号10面(2025年2月20日発行)に掲載しています。
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