福富建設(岡山県岡山市)では20代から70代までの社員大工7人を雇用し、年間7~8棟の新築と大規模リノベーション1~2件、そして年間数十件のアフターメンテナンス(家守り)をこなす。同社の社員大工は木工事だけではなく、営業から現場監督、家守りまでを担当するマルチプレイヤーだ。社員大工がどのような役割を果たしているか、社長の後藤正弘さん・広報の後藤蓉子さんに聞いた。
現在、同社の社員は後藤さんを含め12人。社員大工以外の職種は設計が2人と広報、経理で、営業専任や現場監督などはいない。社員の半分以上を大工が占めているため、完成見学会の準備や当日の案内、同社サイト内の「大工さんブログ」での情報発信、引き渡し後の家守り活動に至るまで、大工が担う業務の範囲は広い。
大工が営業にまで関わる体制の契機になったのは1997年、後藤さんが父の逝去によって社長に就任したことだった。当時の同社は地場ゼネコンの下請けなどBtoBの仕事を受注していたが、後藤さんは将来を見据え、注文住宅をメインとする元請け工務店に舵を切った。対生活者の営業は初めてだったが、何とか紹介で1棟目を受注し、手探りで完成見学会も開催した。
すると、父の代から在籍していた15人の社員大工らが、自発的に来場者の案内や説明を買って出た。当時は後藤さんが設計業務を一手に引き受け、日曜も接客に追われていたが「そんな自分の姿を見た大工が心配してくれ、自分たちにもできることはないかと協力的だった」という。
大工の営業活動が顧客にも響く
大工が営業活動を担うことは、受注の面でも大変効果的だ。蓉子さんは・・・
この記事は新建ハウジング2月20日号9面(2025年2月20日発行)に掲載しています。
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