国土交通省は2月3日、建設産業における女性活躍・定着促進に向けた検討会を開き、実行計画案を公表した。計画の基本的な考え方として、まずはトップである経営者層の意識を変えた上で、現場で働くすべての労働者の意識を変え、建設従事者にとって魅力的な産業にすることが必要であるとしている。
2024年12月末現在、建設業に従事する女性は約88万人。管理的職業・事務従事者が66%を占める一方で、技術者は3.4%、技能者は14.8%と低い水準となっている。

建設業における女性就業者の推移(資料より引用)
官民あげて取組を実施
新たな実行計画では、官民をあげて取り組むポイントとして、①建設産業の魅力向上・発信、②働きやすい現場の実現、③女性活躍・定着促進に向けた取組の裾野拡大―を重点項目として挙げた。
①建設産業の魅力向上・発信では、女性に限らず、すべての人が働きやすい建設産業になるために意識改革を行うことに重点を置いた。具体的な取り組みとして、仕事と家庭の両立を可能とする制度など、柔軟な働き方やスキルアップのできる環境整備などに取り組む。その上でターゲット別の戦略的な広報などを行い、建設産業の魅力を発信する。
②働きやすい現場の実現では、現場で働く女性を支援するため、ハード・ソフト両面からの環境整備を実施。ハード面では、快適トイレや更衣室の整備、女性向け作業服の導入や女性でも扱いやすい機械の開発などを進める。ソフト面では、就業時間への配慮として、適正工期の確保や朝礼運営の見直しを図る。現場でのハラスメント防止対策にも取り組む。
③女性活躍・定着促進に向けた取組の裾野拡大では、「建設産業女性定着支援ネットワーク」への参加団体の協力により、業界団体との連携や女性のための相談体制を強化する。さらにフォローアップを行うことで、計画の実行性を確保する。
現在、建設産業女性定着支援ネットワークに参加しているのは33都府県・38団体。まだ参加団体のない北海道、山形、栃木など14道県の団体に対しても、参加を呼び掛けている。
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