東京都は1月31日、2026年度から2035年度までの10年間に実施する「防災都市づくり推進計画の基本方針」の改定案を公表した。基本方針(1996年策定)の改定は2021年以来で、今回で4回目。能登半島地震および同地震で発生した大規模火災を踏まえ、大地震があっても「倒れない・燃えない・助かる」まちの形成を目指す。3月3日までパブリックコメントを実施した後、3月末に新たな基本方針を公表する。
「防災環境向上地区」を追加
今回の改定では、防災都市づくりに関する地域について見直しを実施。地域特性に応じて「整備地域」「重点整備地域」「防災環境向上地区」などに区域分けを行う。このうち「重点整備地域」には52地区・約3350haを指定。不燃化特区制度(参考:PDF)を活用して、不燃化を推進する。「整備地域」については、これまで28地域・約6500haを指定していたが、改善された町丁目については除外した。
さらに整備地域外の木造住宅密集地域のうち、改善が必要な地区を「防災環境向上地区」として新たに指定し、都内全域で不燃化を進める。

防災環境向上地区の一覧(資料をもとに作成)
「燃えない・燃え広がらない」まちづくりに向けては、不燃化特区制度と特定整備路線の整備に関する取組を5年間延長。円滑な消火・救援活動や避難の基盤となる防災生活道路を整備する。幅員4m以上6m未満および幅員6m以上の道路への拡幅や無電柱化を推進する。
規制区域は原則耐火建築物に
建築物の不燃化に向けては、新たな防火規制区域の指定により、建替え後の建築物のすべてが原則として耐火建築物、準耐火建築物となるよう誘導。特に不燃化が進まない地区については老朽建築物の除却や建替えに対して支援を行う。建替えの基準に満たない無接道敷地の街区については、敷地整序や新たな道路の整備、建築物の共同化を誘導し、無接道敷地の解消を図る。
「倒れない」まちづくりに向けては、従来の旧耐震基準の建築物に加えて、2000年以前に建築された新耐震基準の木造住宅についても耐震化を支援する。これにより震災時でも住み続けれれる震災に強い住宅への建替えを進める。

延焼遮断帯の整備イメージ(資料より引用)
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