経済産業省と環境共創イニシアチブは2024年12月、24年度のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業について調査発表会を開いた。2024年度の戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化等支援事業(以下「戸建ZEH支援事業」)では「ハイグレード仕様」の新設もあり、外皮性能向上と蓄電池の普及という2つの傾向が明確に。一方で、実績では工務店と大手ハウスメーカーとの差は依然として大きいことが課題として残る。
24年度の戸建ZEH支援事業で補助金の交付決定を受けたのはZEH483戸、ZEH+4701戸の計5184戸[グラフ1]。ZEH+が交付決定件数の9割を超え、かつ24年度から導入された「ハイグレード仕様」(断熱等級6以上の外皮性能および一次エネルギー消費量30%以上削減)が3005戸と、全体の58.0%、ZEH+の6割以上を占めるに至っている。
ZEH+は、①外皮性能のさらなる強化②高度エネルギーマネジメント③V2Hの導入―の3つの選択用件があるが、最も多い組み合わせは①と③の59.9%。3つ全てを備えている住宅も28.9%に達した。
ZEH、ZEH+のいずれもハウスメーカーの割合(ZEH55.5%、ZEH+82.8%)が多いが、ZEHでは工務店の割合が36.0%まで上昇。新規取組ZEHビルダー/プランナーも、23年度の20件から72件まで増加した。
加算措置のひとつである蓄電システムの導入件数も、昨年度の44.8%から10ポイント以上上昇し、全体では57.0%に。ZEH+はさらに高く、23年度の48.5%から60.8%まで増加している。一方、ZEHは20.1%まで低下している。システムの容量はZEH7.1kWh、ZEH+8.3kWhと、いずれも過去最大を記録した。
工務店のZEH化率14% 注文住宅では一定の実績
ZEH支援事業では、事業者がZEHビルダー/プランナーとして登録する必要がある。ZEHビルダーとして登録している工務店も多いが、実績ではハウスメーカーとの差が開いているのが現状だ。
23年度の実績では、新築戸建て住宅(注文住宅と分譲住宅の合計)全体の、着工統計におけるZEH化率は27.6%。ハウスメーカーに限れば73.2%と高い割合だが、工務店(ZEHビルダー/プランナーの未登録事業者も含む)は伸びているものの14.1%にとどまる。ただ、工務店でも注文住宅のZEH化率は23.5%に達しており、分譲の割合が極めて低い。対してハウスメーカーは注文よりも分譲のZEH化率が高い。
また、ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedの“ZEHシリーズ”に、それ以外のZEH水準を満たす住宅を合わせた「ZEH基準化率」は42.0%。ハウスメーカーの87.6%に対し、工務店は28.5%と、こちらでも差が開いている。ただ、工務店でも注文住宅に絞ると45.9%まで上昇しており、工務店の中でも差が開いているようだ。・・・・・
この記事は新建ハウジング2月10日号5面(2025年2月10日発行)に掲載しています。ここでは掲載していないグラフや図なども掲載しておりますので、ぜひ紙面または紙面ビューアーでご覧ください。
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