(一財)建設業技術者センター(CE財団)はこのほど、建設業における2024年問題に向けた取り組みを分析した「地域建設業の時間外労働の現状」(PDF)を公表した。
同アンケート調査は、地域建設業における長時間労働の現状を把握し、その削減に向けた取り組みを明らかにすることを目的に実施したもの。4県の建設業協会(4県協会、名称は非公表)と全国中小建設業協会(全中建)の会員企業・計4200社の協力を得て、2024年6月に行った。
長時間労働になりがちな技術者の時間外労働については、「月45時間超」が最も多く、全中建で229社(45.4%)、4県協会では130社(33.7%)に上った。長時間労働の原因となった工事の発注者・工事種類は、「都道府県・政令都市発注の土木工事」(全中建:49.8%、4県協会:46.3%)、「国・県・市町村以外(民間含む)発注の建築工事」(全中建:27.3%、4県協会:41.0%)などで多くなっている。
長時間労働の理由については、「現場作業後の書類作成・整理に時間を要した」「当初から工期がタイトだった」「施工途中の協議に関する発注者の回答が遅れた」「天候等により現場で施工できる日数が少なくなった」などの回答が多く、適正な工期の設定や書類のひな型化・簡素化、情報の共有化が、長時間労働是正の鍵になると考えられる。
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長時間労働の理由(資料より抜粋)
電子小黒板などで「効果あり」
長時間労働是正に向けた取り組みでは、全体の約7割が「作成書類のひな型管理」を導入していると回答(全中建:354社・70.2%、4県協会:268社・69.4%)。6割以上が「電子小黒板」や「クラウド活用によるデータの共有化」を導入するなど、デジタル化・DX化への取り組みが進んでいる。
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長時間労働是正のための取り組み(資料より抜粋)
これらの取り組みに効果があったかについては、「電子小黒板」では約6~7割、「作成書類のひな型管理」や「クラウド活用によるデータの共有化」では6割程度が「効果があった」と回答。「現場の事務作業をバックアップする専門部署の設置」「工事情報共有システムASPの活用」「勤怠管理ソフト・アプリケーションの導入」でも、約7~8割が「効果があった」と回答した。
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