帝国データバンク(TDB、東京都港区)が1月9日公表した2024年12月の「景気動向調査結果」によると、景気DIは前月比0.1ポイント増の44.5となった。「建設」のDIは47.6で、前月から0.5ポイント減少。人手不足が悪材料となったが、建物売買などの不動産販売は好調だった。
業界別では、「不動産」「金融」「サービス」など5業界が改善。「農・林・水産」など5業界が悪化し、景況感が二分された。
「建設」では、「建築基準法の改正による駆け込み需要がみられる」(木造建築工事)、「工場の更新工事など民間設備投資と公共工事が堅調」(はつり・解体工事)といった声が上がる一方で、「新規案件が少ない中、資材や人件費の上昇により採算が悪化」(建築工事)、「円安などで輸入建材が高騰し、建設費用がここ2~3年で倍になっているため住宅が建っていない」(一般管工事)、「人員不足のため、思うように仕事ができていない」(機械器具設置工事)といった意見が見られた。
工事減も住宅販売・金融は上向き
企業規模別では、「大企業」(DI:48.7)は前月比で0.4ポイント増加。建物売買が好調で、「不動産」が3カ月ぶりに上昇した。「中企業」(DI:43.7)はマンション建設工事の減少が下押し要因となり、横ばいに推移した。「小企業」(DI:42.6)は同0.1ポイント減少し、2カ月ぶりの悪化となった。その一方で、「金融」で住宅金融や投資業などが上向いている。
地域別では、10地域中「九州」(DI:47.6)、「南関東」(DI:46.8)、「近畿」(DI:44.2)の3地域が改善し、「四国」(DI:40.1)、「北陸」(DI:41.7)、「北関東」(DI:41.9)など7地域が悪化した。「近畿」は同0.4ポイント増加し、3カ月ぶりに改善。万博関連で特需があったほか、インバウンド需要が追い風となった。ただし、「京都」は物価上昇によるマイナス影響もあり悪化している。
資材・燃料費高騰が不安材料に
今後の見通し(全産業)では、消費者の節約志向の高まりや企業のコスト負担上昇が悪材料となり、横ばい傾向で推移すると予想。
「建設」では、「住宅の建築価格が高止まる中、給料はそれほど上がらないため購入者が限られている」(木造建築工事)、「人材不足、資材高騰は続く。燃料費の高騰も不安材料」(一般土木建築工事)といった懸念が広がっている。その一方で一部地域では、「半導体工場を含め仕事量がある」(内装工事)、「円安と万博でインバウンド向けにホテル投資が旺盛な状況は続く」(電気配線工事)と、明るい見通しを示した。
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