帝国データバンク(東京都港区)は1月9日、2024年の「人手不足倒産の動向調査」の結果を発表した。2024年に発生した従業員の退職や採用難、人件費高騰などが原因の人手不足倒産は、前年比1.3倍の累計342件となり、2013年の調査開始以降の過去最多を2年連続で大幅更新した。
12月時点で人手不足を感じている企業は52.6%で、建設業(71.3%)、物流業(75.9%)は全体を大きく上回っている。新型コロナで一時的に緩和された2020年以降、高止まりが続いており、今後も人手不足倒産は高水準で推移すると予想される。
業種別では、建設業が99件(前年比8件増)で最も多く、物流業も46件(同7件増)と高水準だった。「2024年問題」に直面した両業種で、全体の4割を占めた。
建設業は、時間外労働の上限規制の影響で労働時間が減少傾向にあり、今後も深刻な人手不足が想定される。また、労働者の高齢化も深刻で、就業者のうち60歳以上の割合は23.9%と全業種を大きく上回る。物流業では、60歳以上は18.6%と建設業よりもやや低いものの、50歳以上は49.5%と半数を占める。今後も、両業種は労働時間と就業者数の増加が見込みにくく、同社は省力化・効率化が急務だと指摘している。
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