東京都はこのほど、建設後50年が経過し歴史的価値のある「東京都選定歴史的建造物」として、新たに6件を追加。早稲田大学1号館(新宿区)、日証館 (中央区)、八芳園(壺中庵)(港区)、東京大学龍岡門・農正門・弥生門(文京区)を選定した。
「早稲田大学1号館」は、法学部校舎として1935(昭和10)年に建設。RC造、地上4階・地下1階。設計は桐山均一氏。早稲田キャンパスの正門付近に位置し、2007年に国の重要文化財となった大隈記念講堂(1927年築)とともに歴史的景観を形成している。入口の御影石の門柱は明治期の正門を加工したもの。 1階は現在、同大学の歴史館(博物館)となっている。同大学では他に2号館(1925年築)が都の歴史的建造物に選定されている。
「日証館」は、1928(昭和3)年に建設。SRC造、地上7階・地下1階。設計は横河工務所(現・横河建築設計事務所)の創設者・横河民輔氏。施工は清水組(現・清水建設)。関東大震災で焼失した渋沢栄一邸宅跡地に、東京株式取引所(当時)の附属施設として建築された。基壇の大きな石張り、入口のアーチが並ぶ意匠が特徴。現在もオフィスビルとして活用されている。
「八芳園(壺中庵)」は明治末期に建設。木造2階建。実業家・渋沢喜作氏の邸宅を久原房之助氏が譲り受け、庭園の一部と屋敷を料亭に提供したもの。現在はレストラン・結婚式場となっている。東京大学「龍岡門」は1933(昭和8)年、農学部の正門となる「農正門」と「弥生門」は1937(昭和12)年に建設。それぞれにキャンパスの校舎群と一体的な景観を構成している。
◆参考:東京都選定歴史的建造物
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