国土交通省は12月26日、社会資本整備審議会・マンション政策小委員会が作成したとりまとめ案を公開した。マンションの管理適正化・再生円滑化の推進に向け、マンションのライフサイクルを見通した総合的施策の方向性についてまとめたもの。1月24日までパブリックコメントを募集した後、2月17日に住宅宅地分科会に報告する。
近年増加している高経年マンションでは、区分所有者の高齢化や非居住化が進行。マンションを適正に管理し、計画的な大規模修繕を行うため、①適正管理への誘導・持続、②組合役員の担い手不足への対応、③区分所有法の見直しへの対応、④多様な建替えニーズへの対応、⑤地方公共団体の体制強化―などが求められている。
分譲事業者の関与を誘導
そこでマンションの管理適正化を促すため、管理計画認定制度の拡充などを要望。同制度は、新築時から適切な長期修繕計画や修繕積立金の額を設定するもので、すでに新築マンションの約半数で予備認定が取得されている。今後は区分所有者に修繕計画などへの理解を求めるだけでなく、分譲事業者に対しても適正な管理計画作成への誘導を行い、それを管理組合に引き継ぐ仕組みを導入するべきだとした。
さらに区分所有者や購入希望者がマンションの管理水準を容易に判断できるよう、管理計画認定を取得したマンションに認定証やステッカーを発行するなど、“管理計画認定の見える化”を提案。「長期修繕計画作成ガイドライン」(PDF)や「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(PDF)を随時見直し、長期修繕計画と修繕積立金の重要性を分かりやすく発信することを求めた。
再生ニーズの多様化にも対応
多様なマンション再生ニーズへの対応では、区分所有法の見直しにより今後進むことが予想される「一棟リノベーション」などに対応した事業手続の創設を要望。総合的に長寿命化手法や再生手法を判断する専門家の育成、解体費用の確保についての検討も課題に挙げた。
他に、▽隣接地を取り込む建替え時の合意形成に対する措置▽高さ制限(斜線制限など)への特例措置▽世帯人数減少に対応した建替え後の住戸面積基準の見直し▽マンション建替法における事業手続の円滑化▽地方公共団体の権限強化―などについても検討を求めている。
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