国土交通省は、自治体が持つ行政情報を掛け合わせて、区域内にある建物が空き家かどうかを判定するシステムを開発している。水道使用量や住民基本台帳、登記簿といった情報を使って、建物が無人である確率を人工知能(AI)で算出。例えば、水の使用が非常に少なく、住人が高齢者1人だけの古い木造住宅である場合、空き家の確率が高いと表示される。外観だけでは判別しにくい空き家もあるため、早期に発見して売買・賃貸利用につなげたり、倒壊する前に解体したりするのが狙い。
住基台帳からは世帯の人数や年齢、登記簿からは物件の築年数や構造が分かる。国交省のシステムでは、こうした住居に関連したデータを掛け合わせることで、空き家の確率を分析する。公的な機関が保有する情報だけではなく、電力会社から提供された電気の使用状況一覧なども組み合わせて精度を上げる。
分析結果は、デジタル地図上に物件ごとにパーセント(%)で示される。国交省は将来的にシステムを無料公開し、全国の自治体に活用してもらう考えだ。それに先立ち、今月から2市で実証を始め、システムが正しく稼働するか確かめる。
総務省によると、2023年10月時点で、使用目的のない空き家は385万戸に及ぶ。放置して荒廃が進めば倒壊の恐れがあり、防犯上の問題や周囲の環境悪化も引き起こしかねない。
そこで国交省は、管理状態の良い空き家は不動産市場に流通させ、利用を進める考え。空き家は取引価格が低いため仲介手数料も安く、不動産業者が取り扱いを敬遠しがちだったため、同省は24年7月、空き家の仲介手数料の上限額を引き上げた。
一方、倒壊の危険性が高い空き家や管理状態が悪い空き家については、市町村が持ち主に修繕を勧告したり、本人に代わって解体したりできる仕組みを設けている。23年度までの9年間で19.3万件が修繕、解体された。
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