12月19日、日本モバイル建築協会(東京都千代田区)では、能登半島地震の復興支援の取り組みについての中間報告会を東京都千代田区にて開催した。「モバイル建築」とは、解体せずに基礎から分離でき、トラック等で積載輸送して移築できる建築物の総称。平常時は、自治体の公園やキャンプ場等で宿泊施設等として利用し、災害発生時には災害救助法に基づいて被災地に貸し出すという仕組みを想定している。
代表理事の長坂俊成さん(立教大学教授)は、リスク学・防災危機管理を専門とする研究者としての視点から「東日本大震災では、約4万9000戸の仮設住宅を供給するのに約8カ月もかかった。今後起こると予測されている南海トラフ地震では、約84万戸の応急仮設住宅が不足すると推定されている」と指摘。「大量の仮設住宅をよりスピーディーに供給するためにも、平時からつくっておいた建築物を被災地に送り込めるモバイル建築の仕組みが必要」だと説明した。
日本モバイル建築協会は2021年に発足し、木造の在来工法、CLT工法など、さまざまなタイプのモバイル建築の開発、工法のオープン化に取り組んできた。このほか、生産・施工のネットワークづくりや、被災地の自治体に届けるための手配や情報の整理、モバイル建築を社会的備蓄として普及させるためのビジネスモデルやソーシャルモデルの構築など、多面的な活動を進めている。
能登半島地震に対しても、石川県や輪島市等から要請を受け、恒久仕様の木造モバイル建築を用いた応急仮設住宅や支援者宿所等の建設を行った。今回は、ウッドステーション(千葉県千葉市)が供給する大型パネルをベースにしたパネルユニットを採用。応急仮設住宅261戸、支援者用仮設宿泊所230戸、伝統工芸の再生支援のための仮設工房57戸、仮設商店街5戸、復興ボランティア活動ベース10室、輪島市復興デザインセンター2棟などを供給した。
※詳細は、1月10日に発行する新建ハウジングタブロイド判(1月10日号・新春特集号)に掲載します。発行後、定期購読者は紙面ビューアーでもお読みいただけます。ぜひご利用ください。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。