経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会は12月17日の会議で、第7次エネルギー基本計画の案を公表した。2040年のエネルギーミックスとして、再生可能エネルギーを4~5割まで引き上げるシナリオを提示[グラフ]。家庭部門では規制と支援措置を一体的に活用しながら住宅・建築物の省エネ化と再エネの導入拡大を進めるとし、あわせて非化石転換やDR(ディマンド・レスポンス)の促進策も盛り込んだ。
第6次エネルギー基本計画の策定(2021年10月閣議決定)以降、ウクライナ情勢や中東情勢の影響による燃料価格の上昇やDX・GXの進展に伴う電力需要増など状況は大きく変化。第7次ではこうした変化を踏まえ、再生可能エネルギーを主力電源として最大限に導入しつつ、特定の電源・燃料源に依存しない電源構成を目指すことを、40年に向けた政策の方向性として掲げた。
住宅を含む家庭部門の施策では「2050年にストック平均でのZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保」、および「2030年度以降に新築される住宅・建築物はZEH・ZEB基準の水準の
省エネルギー性能の確保」との目標と整合するよう、遅くとも30年度までに省エネ基準を引き上げる。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の定義についても「省エネ性能の大幅な引き上げを実施するとともに、自家消費型太陽光発電の促進を行う」ように見直すとした。さらに「より高い省エネ水準の住宅の供給を促す枠組み」を創設し、住宅性能表示における基準も充実させる。
トップランナー制度でも窓などの目標基準値の改訂や対象拡大に取り組み、建材や設備による省エネ性向上を支える。住宅に関する支援措置としては、▽ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ性能等を有する住宅などの導入に対する支援、▽断熱窓への改修や高効率給湯器の導入も含めた住宅の省エネ改修、▽ヒートポンプ給湯機やハイブリッド給湯機、家庭用燃料電池といった高効率給湯器の導入―などを挙げた。
太陽光の導入拡大に向け屋根置き型の拡大を促進
同計画が示す40年度の電源構成の見通しでは、全体の4~5割を占める再エネのうち、22~29%程度が太陽光発電と予測。太陽光発電は、平地面積当たりの導入量は主要国の中でも
大きいものの用地不足などから年間導入量が低下傾向にある。
今後、再エネ主力電源化に向けてさらなる導入拡大を図るにあたり、需給近接で導入できる建築物の屋根・壁への設置を重視する。
特に屋根置き型の太陽光発電は、地域と共生しやすく自家消費で系統負荷も低いとして、積極的に活用していく方針を掲げる。住宅用では、30年度に新築戸建て住宅の6割に太陽光発電を設置するとの目標を確実に達成するため、住宅トップランナー基準で一定割合の設置目標を定めることで、設置を促進していく考え。また、自家消費や、余剰電力を地域で活用するモデルについても推進していく。
一方で30年代後半以降、使用済み太陽光パネルの廃棄量が増大することが見込まれているため、適正にリユース・リサイクル・廃棄処分が進むよう「義務的リサイクル制度を含めた新制度の構築に向けて検討を進める」とした。
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