帝国データバンク(東京都港区)が12月25日公表した「2025年の景気見通しに対する企業の意識調査」によると、「回復」局面になると答えた企業はわずか7.7%で、前回調査から5.1ポイント減少。5年ぶりに1割を切った。「悪化」局面を見込む企業は23.9%(同3.6ポイント増)、「踊り場」局面は41.7%(同0.4ポイント減)となっている。
業界別では、建設業は「回復」が5.8%、「踊り場」が40.8%、「悪化」が25.2%、「分からない」が28.2%となり、全産業平均よりも厳しい見通しを示した。不動産業は「回復」が9.5%、「踊り場」が43.7%、「悪化」が20.9%、「分からない」が25.9%だった。
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景気見通しの推移(資料より抜粋)
同調査は同社が毎年実施しているもので、調査期間は2024年11月18日~30日。全国の企業1万939社から回答を得ている(有効回答率40.7%)。
企業の規模別では、「回復」と答えた企業は規模が大きいほど多く、「大企業」は8.6%、「中小企業」は7.5%、「小規模企業」は7.0%だった。一方、「悪化」と答えた企業は「大企業」で17.4%、「中小企業」で25.1%、「小規模企業」で28.1%となり、規模が小さい企業ほど多くなる傾向が見られた。
追加利上げなど懸念材料に
景気の懸念材料については、1位が「原油・素材価格(の上昇)」(46.2%)で、前年と比べると12.8ポイント減少。2位「人手不足」(41.6%・同1.1ポイント増)や「物価上昇(インフレ)」(31.5%・同4.8ポイント増)、「為替(円安)」(30.7%・同6.7ポイント減)がそれに続いた。
前年と比べて目立って増えたのは、「金利(の上昇)」(24.1%・同6.3ポイント増)、「米国経済」(17.1%・同11.2ポイント増)で、政策金利の追加利上げやトランプ大統領就任に対して不安感が高まっている様子がうかがえる。
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2025年の懸念材料(資料より引用)
個別意見では、「世界・国内ともに社会情勢が混沌としていて見通しは厳しい」(建設・福岡県)、「物価高騰に所得の上昇が追いつかず消費者の買い控えが増える」(不動産・埼玉県)、「旅行・インバウンドは明るい要素だが、電気代・ガス代・水道料金の高騰などが下振れ要因となる」(不動産・長野県)などの意見があった。
こうした結果を踏まえて同社は、「引き続き原油や原材料価格の高止まり、物価上昇などは企業活動を行う上でのリスクとして表れていくだろう。あわせて人手不足への対応と個人向けの減税や消費拡大策が喫緊の課題となりそうだ」と分析している。
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