国土交通省が12月24日公表した低未利用土地の「長期譲渡所得控除制度の利用状況」によると、2023年に低未利用土地の譲渡にする際に必要な確認書を交付した数は4555件となった。譲渡前の土地の状態は「空き地」が50%、「空き家」が38%を占めていたが、譲渡後は68%が「住宅」となっている。所有期間については「51年以上保有していた土地」が31%を占めており、31年以上保有していた土地の合計は64%に及んでいる。
同制度は、個人が保有する低未利用土地などを譲渡した場合に長期譲渡所得の金額から100万円を控除するもの。全国的に空き地・空き家が増加する中、新たな利用意向を持つ人に土地の譲渡を促すことを目的として2020年7月に開始した。23年1月には市街化区域や用途地域設定区域内の土地を対象に、価額要件を上限500万円から800万円へと引き上げている。
市町村では宮崎県都城市が最多
都道府県別で最も確認書の交付が多かったのは「北海道」の298件。次いで「茨城県」(269件)、「岐阜県」(214件)の順。市町村別では、移住者の数が急増している「宮崎県都城市」(72件)が最多となっている。1件当たりの譲渡対価額(土地とその上物の合計)の平均は278万円だった。
愛知県蒲郡市の事例では、管理不全で利活用が難しい空き家を売主が相続。費用の問題もあり、解体できないまま放置されていた。そこで市の補助金と同制度の減税措置を活用し、解体費を工面。更地となった土地を譲渡した。その後、買主はその地に住宅を建ててている。
低額な不動産の場合、▽想定したよりも売却収入が低い▽相対的に譲渡費用(測量費・解体費など)の負担が重い▽課される譲渡所得税の負担感が大きい―などの理由から、売らずに低未利用土地(空き地)などとして放置されるケースが多いという。
そこで同制度では、売却時の負担感を軽減することで、利用意向のある人への未利用不動産の譲渡を促進。これにより新たな所有者による土地の適切な管理、土地の有効活用を通じた投資の促進や地域活性化、所有者不明土地の発生予防につなげる。
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