国土交通省は12月25日、2024年の一級建築士試験・設計製図の試験(10月13日実施)の合格者を決定した。製図の受験者1万1306人のうち合格者は3010人で、合格率は26.6%。前年より6.6ポイント低下し、直近5年間で最も“狭き門”となった。学科の試験からの受験者3万4237人に対する総合合格率は8.8%で、同1.1ポイント低下している。
試験のうち「建築計画」では、①建築を学ぶ上で参考(教材)となるような建築物の計画、②学生や教職員の多様性への配慮・ユニバーサルデザインに配慮した計画、③学生間の交流や学生と教員の交流の場に配慮した計画―を出題。構造計画では、①基礎免震構造の特性を踏まえた計画、②講堂の構造計画、「設備計画」では、①学生や教職員の帰宅困難者の一時滞在に配慮した計画、②屋上に設置する設備機器等の計画―が出題された。
不合格者のうち「ランクⅣ」(重大な不適合)の該当者は全体の48.0%。特に「階段の不成立」「要求室・施設等の特記事項」「道路高さ制限」「延焼ラインの明示と防火設備の設置」などで不適合な解答が見られたという。他にも、「要求図面のうち1面以上欠けている」「要求室・施設等のいずれかが計画されていない」「設計条件を著しく逸脱している」といった解答があった。
平均年齢29歳、23歳以下も約1割
合格者の平均年齢は29.0歳。旧制度資格の受験者の平均年齢は31.1歳、新制度資格の受験者は25.4歳だった。最も多かったのは「24~26歳」で全体から見た割合は33.9%。学生を含む23歳以下が12.1%を占めた。男女比は「男性」が69.3%、「女性」が30.7%となった。
学歴・資格別の内訳は「大学」が最多の74.6%。次いで「二級建築士」(15.8%)、「専修学校」(5.0%)が多かった。大学別では、「日本大学」(142人)、「東京理科大学」(103人)、「近畿大学」(92人)、「芝浦工業大学」(84人)、「早稲田大学」(66人)、「工学院大学」(61人)などで多くの合格者を出している。
職域別では、「建設業」(37.5%)、「建築士事務所」(26.9%)、「住宅メーカー」(14.1%)などが多かった。職務別では「建築設計」(38.0%)、「施工管理・現場管理」(20.4%)、「構造設計」(8.8%)などが多数を占めた。
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