「ちょんまげ」を落として俯瞰すると
チャンス・伸び代、「面白い」はまだある
「ちょんまげ」を落とす―。
2025年に工務店や住宅業界のプレーヤーが取り組むべきことの一つはこれではないかと考えています。「ちょんまげ」とは、固定観念や常識、古くなったやり方を象徴するワードです。もちろん守るべき価値観や変わらない本質は捨てるべきではありません。しかし、新築市場が縮み、生活者やその志向も変化するなか、捨てるべきこと・変えるべきことも多いと感じます。
たとえば「工務店は○○すべきではない」という固定観念や常識がその一例です。もっと自由に業態や業域、事業規模や組織体制を考えてもいいはずです。また、設計施工や現場監理、資材調達など家づくりのやり方、集客・受注のやり方、経営のやり方なども、DXやAIを活用しながらどんどん変える時期、そして質とコスト、少数精鋭のバランスをとるべき時期に来ています。
2024年はインフレと賃上げ格差のギャップから消費や住宅予算も三極化するなか、「高嶺の花」化した持家(新築注文住宅)の着工数は対前年比でマイナスを続けました。2024年10月にようやく35カ月ぶりに増加へ転じましたが、あくまでも悪かった前年との比較による増加にすぎません。
2025年4月に予定されている法改正前の“駆け込み的着工”は一定数あるでしょうが、その後は確認検査の遅滞により、着工や引き渡し・入金などに影響が出る可能性があります。住宅予算の三極化も引き続き見込まれるうえ、そもそもファミリー世帯が減少していくため、持家着工の減少トレンドは大きく変わらないでしょう。
こうした状況のなか、工務店のリフォーム・中古住宅シフトが盛んに叫ばれています。筆者や新建ハウジングもこれを提唱してきましたが、それは「新築をきちんと受注し、きちんとつくれる」ことが前提です。そうでないのに安易にシフトすると、経営の根幹が崩れかねません。
そこで筆者は、2025年を「新築再興」の年と位置づけ、筆者が執筆した「住宅産業大予測2025」のテーマも「新築再興」としました。
新築にはもう伸び代もチャンスもないように見えるかもしれません。しかし「ちょんまげ」を落として俯瞰してみると、分譲戸建てや賃貸、木造非住宅、移住者需要や投資需要など、量産会社などから工務店が奪える市場、新たに獲れる需要はまだまだあります。やるべきこと・やめるべきことも見えてくるはずです。
「住宅産業大予測2025」には、そうした切り口や具体的な方策をできるだけ盛り込みました。ぜひ一読いただき、みなさんならではの「新築再興」につなげていただければと思います。
すでに新築をきちんと受注し、きちんとつくることができている工務店は、住宅・非住宅のリフォームやリノベーション、中古住宅・空き家の利活用に、積極的に取り組んでほしい。その先には工務店ならではの「地元活性化」があります。
住宅をベースとした建築の力で地元を元気にし、定住者はもちろん、多様な「人」を地元に増やしていくことで、地元に貢献でき、建築需要を創造し事業化できるはずです。
新建新聞社は2025年、工務店とその周辺プレイヤーによる地元活性化を全面的に推していきます。1月20日にはその第一弾として、有料購読者の皆さまなどに「面白い」メディアをお届けする予定です。どうぞご期待ください。
売上や利益、生き残りも大切ですが、それだけに汲々としていては面白くありません。家づくり・建築は本来、面白く、やりがいのある仕事。2025年はメディアを通じて「面白い」も提案していきたいと考えています。
2024年も新建新聞社・新建ハウジングをご愛顧・ご愛読いただき、ありがとうございました。2025年もどうぞよろしくお願いいたします。
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