一年間計12回にわたり続きました連載も、今回で最終回となりました。最終回はまとめとして、これからのBIMと木造建築はどのようになるのか?を大胆に予想して締めたいと思います。
【法律の制定はすでに起こっている未来である】
連載中に何回か述べさせていただいたことでもあるのですが、再度この言葉を上げさせていただきます。
①脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(R3/10/1施行)
②脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(R4/6/17公布)
これら2つの法律は、「木造化」を推進する国の施策です。どちらもタイトルに「脱炭素社会の実現」とあるように、我が国だけなく地球規模での課題である脱炭素社会へ向けて「木」がその鍵を握っているのは間違いなく、木造化を進めるためのルールを決めましょうというわけです。
①においては、旧来の適用範囲であった公共建築物から一般建築へと範囲が広がりました。その新第15条にて建築物木造利用促進協定制度が創設され、利用者の取り組みを支援するとなっております。(株)エヌ・シー・エヌが構造計算とプレカットを担当させていただいた(株)良品計画の唐津店、日田店の2つの大規模木造店舗は協定によって建設されています。このような形で大規模木造建築物は増加していくと思われます。
②は、簡単にいうと住宅でも省エネ計算が確認申請に必須となり、いわゆる木造4号建築物で構造計算が免除されたものでも構造計算が必要となるという法律の改正です。
ただし、現時点で構造計算マストではなく、壁量が1.5倍ほど増えるという内容に落ち着きそうですが、壁量が1.5倍にもなるとプランニングに制限が出ると思われます(壁多めの明るくない狭い小部屋ハウスにが出来上がります…)。ですので、構造計算を適切に行い快適な空間を設計していく手法がこれから増えるでしょう。
木造建築の大型化がすすみ、省エネ計算および構造計算を行うことが一般的になったとき、これまでのように情報が連携していない図面のやりとりで建築のプロセスをすすめることは作業時間もかかる上、ミスも増え、施工期間も延び、最終的には顧客に損失を与え、削減するはずだったCO₂を増加させてしまうことにすらなってしまうでしょう。
建設業における労働人口の減少や高齢化の進行は間違いな未来な上に、働き方改革における労働時間短縮をもマストなっている状況下で、これからもっともっと効率よく業務をこなしていかなといけない時代には、BIMをはじめとするDX化が欠かせません。BIMなどなくてもDXしなくても現場は回っているという意見もいまだに見られますが、それは単なる現状維持するもしくは縮小して当代で店じまいへ向けて行う事業の話です。
木造化しCO₂をガンガン削減しつつ≪GX≫、BIMなどのツールを活用し≪DX≫で生産効率を圧倒的に上げていくことこそが、日本の建築界にとってのこれからのメインイシューになるでしょう。我々にとってとても身近な「木」という素材が、よりオープンに、民主的に、だれでもわかりやすく活用できるようにBIMの技術を利用した仕組みやツールを準備していきたいと思っています。
株式会社MAKE HOUSE 今吉
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