国税庁はこのほどインボイス制度について説明するパンフレット「適格請求書等保存方式の概要-インボイス制度の理解のために-」(PDF)の最新版を公開した。併せて確定申告(インボイス制度)の解説ページを更新している。
パンフレットでは、適格請求書(インボイス)の記載方法や売手側・買手側の留意点、税額計算の方法、登録申請手続などについて解説。買手側の留意点では、▽保存が必要となる請求書の範囲▽帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるケース▽少額特例の適用要件▽免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置などが掲載されている。
確定申告のページでは、申告に向けての準備や消費税申告書の作成、記帳・帳簿等の保存について説明。資料として、①個人事業者向けの「消費税及び地方消費税のパソコン申告マニュアル」(一般課税編/簡易課税編/2割特例編)、②2割特例用の「消費税及び地方消費税の確定申告の手引き」、③「帳簿記帳のしかた」、④「白色申告者の決算の手引き」、⑤「記帳のしかた」(青色申告編/白色申告編)を掲載している。
※①~④はPDF、⑤はYouTube動画とPDF。
初申告、2割特例適用が8割超
インボイス制度は2023年10月1日に開始。日本商工会議所と東京商工会議所が今年9月に発表した調査結果によると、インボイス制度導入を機に、免税事業者(主にBtoB)の73.3%がインボイス発行事業者として登録した。登録した元免税事業者のうち85.5%が初めての確定申告で「2割特例」を適用している。
また同制度の導入により、48.8%の事業者が「コストの増加」を、82.2%の事業者が「事務負担の増加」を感じていることが判明。経理事務については、「売上高1000万円以下の事業者」の31.1%が「すべて社内で対応」していると回答した。国税庁による解説や資料が、まさに“頼みの綱”となっている状況だが、「制度が複雑でとにかくわかりづらい」「依然インボイスの要件を満たさない領収証や請求書を発行する事業者が多い。政府にもっと周知してほしい」との声も上がっている。
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