価格転嫁の円滑化、ICT(情報通信技術)の活用、技術者専任の合理化などについて定めた「建設業法施行規則等の一部を改正する省令」などが12月13日に施行され、その詳細を示した各種省令とガイドラインなどが改訂された。元請負人と下請負人の関係における留意点については「建設業法令遵守ガイドライン」(PDF) に、ICTの活用については「情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針(ICT指針)」(PDF)に、工事現場における監理技術者等の専任については「監理技術者制度運用マニュアル」(PDF) に記載されている。
元請・下請双方に通知義務
今回施行された省令の主な内容は、①契約書の法定記載事項の追加、②価格転嫁協議の円滑化に関する通知ルール、③建設業者の処遇確保の義務化、④ICTの活用に関する努力義務規定の創設、⑤監理技術者等の専任の合理化および営業所技術者等の特例、⑥公共工事における施工体制台帳の提出義務の合理化―など。
①の契約書の法定記載事項では、価格の変動または変更に基づく工事内容の変更、または請負代金の変更について、建設工事の請負契約書に記載することが義務化された。併せてその額の算定方法を記載する必要がある。
②の通知ルールでは、請負代金・工期に影響を及ぼす事象が発生するおそれがある場合に、契約締結前に必要な情報を通知することを義務化。通知は元請負人と下請負人の双方に求められる。元請から下請に対する通知では、地盤の沈下・地下埋設物による土壌の汚染などに起因する事象に、埋蔵文化財調査状態に起因する事象とその対策が追加された。通知手段は書面またはメールなどの電磁的方法で行い、双方で保存する。
下請から元請に対しては、▽主要な資機材の供給の不足・遅延▽資機材の価格の高騰▽労務の供給不足・価格の高騰―などを情報として通知する義務が課される。その際、うわさや業者の口頭による情報などではなく、メディア記事や資材業者の記者発表の内容、公的主体や業界団体による統計資料など、元請負人が真偽を確認することが可能な根拠を明示しなければならない。
ICTの活用指導も努力義務化
④のICT活用に関する努力義務では、特定建設業者および公共工事の受注者がICTを活用した現場管理を行い、ICT活用について下請負人に対して指導することを求めている。
具体的には、▽施工管理システム▽CCUS(建設キャリアアップシステム)▽建設業退職金共済制度での電子申請方式▽電子入札・電子契約▽公共工事のASP(情報共有システム)―に活用に積極的に取り組むことを要求。導入機材については、ドローン、自動追尾型トータルステーション、3Dスキャナ、BIM/CIM、ウェブカメラ・ウェアラブルカメラ、電子小黒板、建設用ロボットを一例として挙げている。
また今回の改正により、公共工事でCCUSなどICTを利用し、工事現場の施工体制を確認できる場合は、受注者が施工体制台帳の写しを提出する必要がなくなった(上記⑥公共工事における施工体制台帳の提出義務の合理化)。
■関連記事
契約締結前のリスク情報通知を義務化 12月中頃に省令施行
着工や受注に影響も!?2025年4月法改正で工務店はどうなる?
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。