全国知事会は12月10日、政府が「新しい地方経済・生活環境創生本部」(新地方創生本部)を設置したことを受け、山口俊一本部長ら政府担当官に「地方創生・日本創造への提言」(PDF)を手渡し、要請活動を行った。提言では、地方が将来にわたって成長力を確保しながら地方創生施策が展開できるよう、実情に応じた支援を求めている。住宅関連では、子育て・仕事・生活の調和のため、子育て世代に適したゆとりある住環境の確保を要望した。
地方創生の実現に向けた要望では、▽人口減少地域での生活機能維持(デジタルの活用)▽公共インフラ・交通ネットワークなど社会資本の維持▽地域産業の成長力強化(産業・人材の育成、企業誘致)▽魅力的な地域づくり▽子育ての希望をかなえる環境づくり▽女性の活躍・外国人就労の推進▽移住の促進、新たな暮らし方の加速▽防災対策の構築―などについて列記。
この中で結婚を希望する若者への支援として、結婚・妊娠・出産・子育てに希望が持てるような環境づくりを要望した。世帯人数に応じたゆとりある住空間を享受できることが必要だとしている。
具体的には、①子育てしやすい住宅仕様の確立、②モデル住宅の整備など地域の実情に応じた住宅ストックの形成、③良質な住宅環境の確保にかかる経済的負担の軽減、④改修費助成など空き家の利活用支援の強化―などを提示。子育て世代に質の高い住宅が提供できるよう、国に支援を求めている。
地方創生の「基本構想」策定へ
「新地方創生本部」は、10月11日の閣議決定により内閣に設置されたもので、“地方こそ成長の主役”との理念に基づき、日本経済成長の起爆剤として大規模な地方創生策を講ずることを目的としている。今後10年間に取り組む「基本構想」の策定に向けて11月以降、本部会合と有識者会議(新地方創生会議)を開催している。
議題として取り上げるテーマは、▽若者・女性にも選ばれる地方の生活環境の創生▽買物・医療・交通など日常生活に不可欠なサービスの維持向上とまちづくり▽農林水産業・地域産業の活用▽観光産業、文化・芸術の活用―など。関係者からのヒアリングを実施するほか、地方での視察、意見交換なども行う。
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