帝国データバンク(TDB、東京都港区)が12月4日公表した2024年11月の「景気動向調査結果」によると、景気DIは前月比0.1ポイント増の44.4となった。「建設」のDIは48.1で前月比0.3 ポイントの増加。災害復旧工事や大規模開発などが好材料となり、2カ月ぶりに改善している。
業界別では、「建設」「サービス」など6業界が改善。「建設」では、防災・災害復旧工事のほか、ホテルの新規出店、設備投資、再エネ関連などが押し上げ要因となった。他方で資材価格や人件費の高騰、職人不足、低調な戸建て着工戸数などが悪材料として挙がっている。
企業からは、「雪が降る前の道路補修、新築住宅の舗装など駆け込みの仕事が多い。除雪の準備の作業などで忙しい」(舗装工事)、「人手不足のため計画的な工事ができていない」(機械器具設置工事)、「資材価格・人件費高騰による原価高の影響がある」(塗装工事)といった声が聞かれた。
北陸で公共工事が減少
企業規模別では、「大企業」(DI:48.3)は前月比で横ばい。「中企業」(DI:43.7)はマンション建設がけん引役となり、2カ月ぶりに改善した。「小企業」(DI:42.7)は横ばいだが、ビル・マンションなどの建設は好調に推移している。
地域別では、「九州」など10地域中5地域が改善、「北陸」など3地域が横ばい、「南関東」など2地域が悪化となった。「北陸」は公共工事の減少などにより、「福井」を除く3県で悪化した。他に県別では、「沖縄への移住など沖縄人気の影響で景気はやや良い」(沖縄県)、「天神ビッグバンにより周辺ビルで建て替えの影響がある」(福岡県)などのコメントがあった。
景気上向きも建設は先行不安
今後の見通し(全産業)では、観光産業の伸長や人手不足に対応する設備投資の拡大がプラス材料となることから、景気はやや上向きになると予想。「建設」では、「再エネ業界の状況は当面安定する」(電気通信工事)、「業界全体的に人員不足のため、工事の進捗は悪くなりそう」(コンクリートブロック工事)、「資材と労務費の高騰で建築費が高く、新築戸建てのボリュームゾーンでは建てられなくなっている」(木造建築工事)などの意見があった。
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