弁護士・秋野卓生さんが、工務店が知っておくべき法律知識を毎月20日号で解説する本連載。
今号は、11月1日施行の「フリーランス新法」への対応について解説します。
1.フリーランス保護新法とは
フリーランス保護新法が2024年11月1日に施行されました。建設工事を委託する一人親方に対する契約書を見直しましょう。
フリーランス保護新法とは、働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備することを目的とした法律です。下請け保護の法律としては下請法がありますが、これは発注元企業が下請事業者に発注した商品やサービスについて、代金の支払い遅延や代金の減額、返品等といった下請事業者に不利益を与える行為を禁止する法律であり、取引の発注者の資本金が一定の金額以上になる場合に適用される法律です。
しかしながら、フリーランスに取り引きを発注する委託事業者の多くは、資本金1000万円以下であることが多く、フリーランスとの取り引きにおいて同法の適用される場面は必ずしも多くありませんでした。
フリーランス保護新法は、このような資本金要件の制限なく、フリーランスに対して取り引きを発注する委託事業者を規制し、フリーランスを保護するものです。
2.フリーランスとは
フリーランス保護新法では、「フリーランス」について、業務委託の相手方である①個人の事業者であって、従業員を使用しないもの、②法人であって、代表者以外に他の法人がおらず、かつ、従業員を使用しないもの、と定義しました。おおむね、従業員を雇用しておらず、一人で収入を得るために委託者との間で請負契約や業務委託契約を締結して業務を受注している者をいい、原則として、労働基準法などの労働関係法令が適用されない者がフリーランスとなります。
建設工事の役務の提供をする一人親方もフリーランス保護新法で保護されることとなります(公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(案)」等に対する意見の概要及びそれに対する考え方 207ページ)。
フリーランス保護新法では・・・
この記事は新建ハウジング12月20日号11面(2024年12月20日発行)に掲載しています。
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