日本政策金融公庫総合研究所がこのほど公表した2024年度の「小企業の雇用に関する調査」結果によると、従業員20人未満の建設事業者の「従業員不足DI」は54.8で、前年調査から0.7ポイント低下。「不足」の割合が57.7%、「適正」が39.5%、「過剰」が2.9%となり、6割もの事業者がいまだ不足感を抱いていることが分かった。全産業で「不足」と答えた企業の割合は37.1%。産業別では「運輸業」が59.3%で最も高く、建設業はそれに次いで2位だった。
この1年間の従業員数の増減数については、建設業では「増加」が14.2%、「変化なし」が68.6%、「減少」が17.2%。従業員が増加した企業は前回調査より1.6ポイント増えた。今後、従業員を増やすかどうかの方針については、「増加(増やす)」53.7%、「変化なし」44.6%、「減少(減らす)」1.7%となっている。
建設業の給与水準DIは上昇
2024年の給与水準DIは、建設業では47.1で前年から9.4ポイント上昇。給与が「上昇(上がった)」と答えた企業が49.6%を占めている。「上昇」した企業のうち、正社員1人当たりの所定内給与が増えたのは49.9%で、「情報通信業」60.8%に次いで2番目に高い割合だった。
給与水準が上昇した背景については、建設業では「人材の定着・確保」が69.7%と最も高くなっている。次いで「物価の上昇」50.5%、「最低賃金の改定」21.1%で回答割合が高かった。一方、今後の見通しについては、「上昇(上げる)」40.6%、「不変」56.4%、「低下(下げる)」3.0%となっている。
同調査は、日本政策金融公庫と取引がある企業を対象に24年9月に実施したもので、有効回答数は5462企業。このうち建設業は686企業(全体に占める構成比率12.6%)。今回の結果から、人材の定着・確保のために賃上げに踏み切るも、いまだ人手不足が解消されていない状況が見て取れる。
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