製品評価技術基盤機構(NITE)が12月9日公表した電気工作物に関する調査結果によると、大雪が観測された年に積雪による太陽電池発電設備の破損事故が増加していることが分かった。さらに積雪被害があったソーラーパネルのうち約9割は架台にも損傷があったことが判明している。
同調査は、電気工作物に関する事故情報データベースを用いて、2019年度から2023年度の5年間に発生した氷雪による太陽電池発電設備の電気事故を分析したもの。この5年間に発生した被害は56件で、1月から2月の間に多く発生している。
このうち2023年1月に中部地方の太陽電池発電所で発生した事故では、大雪と強風の後、架台全体が倒壊し、ソーラーパネルが落下した。架台上部の設計基準を上回る50cmの積雪が発生したことに加え、強風の影響を受けたことを要因として挙げている。
こうした事故を受けて、NITEでは2021年度からの3年間で128事業場の立入検査を実施。49事業場に対し、「支持物の構造」(128件)、「部材の接合」(70件)、「許容応力度」(39件)、「積雪荷重」(30件)、「風圧荷重」(29件)などの項目で改善を求めた。(※カッコ内は指摘した箇所の合計)
パネル設置時から対策を
NITEは積雪への対策として、①ソーラーパネルから積雪が落ちやすくなる傾斜角でパネルを設置すること、②落ちた雪がパネル軒先まで達しない架台の高さにすること、③積雪が予想される場合、事前に電気主任技術者などと対策を協議しておくこと、④ソーラーパネルを固定する金具や架台の接合部のボルトを点検し、緩んでいないことを確認すること、⑤除雪計画をあらかじめ策定し、監視カメラによる積雪量の監視や定期的な巡視点検、除雪を行うこと―を推奨している。
また、ソーラーパネルなどが破損した場合に感電の恐れがあるため、関係者以外は不用意に近寄らないようにすること、破損したソーラーパネルを速やかに回収すること、復旧作業時は適切な安全装備を身に付けることなどを呼び掛けている。
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