東京都は、平均的な収入でも手頃な価格で確保できる「アフォーダブル住宅」の普及に向け、ファンドを創設する方向で調整に入った。都心部のマンション価格が高騰する中、中間層向けの住宅支援を強化する。2025年度当初予算案に関連経費を盛り込むことを目指す。
不動産経済研究所の調査結果によると、東京23区の新築マンション平均価格が1億円台となるなど、都心部の住宅価格が高騰している。
このため、子育て世代が都内では広い面積の住宅を確保しにくくなり、「未就学児と親世代が都外に転出する原因」(都庁関係者)ともされる。都議会内で問題視する声があり、小池百合子知事も7月の知事選の公約で対策強化を打ち出していた。
アフォーダブル住宅は、大都市を抱える米国や欧州で取り組みが進んでおり、都でも平均的な所得層が住まいを確保しやすくするため、検討を進めることにした。
新ファンドは民間事業者がアフォーダブル住宅を整備する際、必要な資金を提供する役割を担う。具体的な規模や開始時期、制度の詳細は今後詰めるが、都による出資だけではなく、CSR(企業の社会的責任)を重視する企業に協力を促し、民間資金の活用も図る考えだ。
民間事業者が価格を抑制する手段として、アフォーダブル住宅として建設したマンションの一部を店舗向けに貸し出したり、高層階を高所得者層向けに提供したりするなどして利益を確保する方法が想定される。大規模な資金調達が難しいため、都が主体となる資金確保の仕組みを整え、整備を後押しする。
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